脳卒中易発症性高血圧自然発症ラットの脳底動脈における数種血管拡張性ペプチドの作用

脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)の脳血管における薬物反応性の特徴を明らかにする目的の一端として, 血管拡張作用を有することが知られている数種ペプチドの作用をSHRSPの脳底動脈において検討した. 実験には雄性で6カ月齢のSHRSPならびにWistar-Kyotoラット(WKY)の摘出脳底動脈リング状標本を用い, 張力の変化を等尺性に測定した. 弛緩反応の観察は, 標本をprostaglandin F_2α で収縮させ, 各薬物を累積的に投与することにより行ない, 次の結果を得た. 1)Calcitonin gene-related peptide(CGRP)による弛緩反応は,...

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Hauptverfasser: 西村芳卓, 鈴木有朋
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)の脳血管における薬物反応性の特徴を明らかにする目的の一端として, 血管拡張作用を有することが知られている数種ペプチドの作用をSHRSPの脳底動脈において検討した. 実験には雄性で6カ月齢のSHRSPならびにWistar-Kyotoラット(WKY)の摘出脳底動脈リング状標本を用い, 張力の変化を等尺性に測定した. 弛緩反応の観察は, 標本をprostaglandin F_2α で収縮させ, 各薬物を累積的に投与することにより行ない, 次の結果を得た. 1)Calcitonin gene-related peptide(CGRP)による弛緩反応は, SHRSPでWKYに比し著しく大であった. 2)Substance Pおよびneurokinin Aの作用は, 両群においてほとんど見られなかった. 3)Vasoactive intestinal polypeptide(VIP)およびpeptide histidine isoleucine(PHI)による弛緩反応には,両群間で差異は見られなかった. 4)Atrial natriuretic peptide(ANP)およびbrainnatriuretic peptide(BNP)による弛緩反応は軽度であり, 弛緩の程度に両群で差は見られなかった. 5)CGRP, VIP, PHI, ANPおよびBNPによる弛援反応はいずれも内皮細胞非依存性であった. 以上の結果より, SHRSPの脳底動脈では, 血管拡張作用を有する数種ペブチドの中で, CGRPに対する反応性が著しく増大していることが明らかとなった.
ISSN:0015-5691