SHRSPとWKYの摘出脳および腸間膜動脈における薬物反応の比較

高血圧自然発症ラットの末梢血管における反応性についての報告は数多くなされているが, 脳血管についてはほとんど検討されていない. 今回, 我々は脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)の摘出脳底動脈における薬物に対する反応性を摘出上陽間膜動脈分枝と比較検討した. 実験には3ヵ月齢のウィスター京都ラット(WKY)およびSHRSPの脳底動脈と上陽間膜動脈分枝の摘出ラセン状条片標本を用い, 張力変化を等尺性に記録した. 脳底動脈において, セロトニン(5-HT)による収縮反応にはWKYとSHRSPとの間に差異は見られなかった. ノルアドレナリン(NA)およびヒスタミン(Hist)により両群とも...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1990, Vol.95 (2), p.122-122
Hauptverfasser: 西村芳卓, 臼井八郎, 鈴木有朋
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:高血圧自然発症ラットの末梢血管における反応性についての報告は数多くなされているが, 脳血管についてはほとんど検討されていない. 今回, 我々は脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)の摘出脳底動脈における薬物に対する反応性を摘出上陽間膜動脈分枝と比較検討した. 実験には3ヵ月齢のウィスター京都ラット(WKY)およびSHRSPの脳底動脈と上陽間膜動脈分枝の摘出ラセン状条片標本を用い, 張力変化を等尺性に記録した. 脳底動脈において, セロトニン(5-HT)による収縮反応にはWKYとSHRSPとの間に差異は見られなかった. ノルアドレナリン(NA)およびヒスタミン(Hist)により両群ともに同程度の弛緩反応が認められた. アセチルコリン(ACh)は両群とも軽度の弛緩反応であった. 上腸間膜動脈分枝では, 5-HTおよびNAによる収縮反応はSHRSPで増大していたが, Histならびに ACh による弛緩反応には両群間で差異は見られなかった. 以上のように, 1)WKYとSHRSPの脳底動脈では5-HTによる収縮反応には差異はなかった. 2)NAにより弛緩反応を惹起したが, β受容体遮断薬処置により減弱した. 3)Histも弛緩反応を示した. 4)上腸間膜動脈分枝におけるSHRSPの5-HTおよびNAによる収縮反応はWKYに比し増大していた. 5)HistおよびAChによる弛緩反応には両群間で差異はなかった.
ISSN:0015-5691