HEBP 連続投与によるラット切歯エナメル質形成障害に関する研究

1-Hydroxyethylidene-1,1-bisphosphonate(HEBP)は, リン酸カルシウム結晶に高い親和性を示す. 今回, HEBP連続投与によって引き起こされるエナメル質形成障害について, 組織学的検索を行なった. 平均体重 150g の Wistar 系雄性ラットを用い, 実験群には, 背部皮下に HEBP 2, 4, 8 mg P/kg/day を7,14,28日間注射を行い, 対照群のラットには, 生理的食塩液を注射した. ラットは, HEBP 最終投与24時間後に屠殺し, 上顎切歯を取り出し, 観察を行った. 走査電顕による所見では, HEBP 4, 8 mg P...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1989, Vol.94 (3), p.228-228
Hauptverfasser: 小椋秀亮, 大谷啓一, 俣木志朗, 若松大成
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:1-Hydroxyethylidene-1,1-bisphosphonate(HEBP)は, リン酸カルシウム結晶に高い親和性を示す. 今回, HEBP連続投与によって引き起こされるエナメル質形成障害について, 組織学的検索を行なった. 平均体重 150g の Wistar 系雄性ラットを用い, 実験群には, 背部皮下に HEBP 2, 4, 8 mg P/kg/day を7,14,28日間注射を行い, 対照群のラットには, 生理的食塩液を注射した. ラットは, HEBP 最終投与24時間後に屠殺し, 上顎切歯を取り出し, 観察を行った. 走査電顕による所見では, HEBP 4, 8 mg P/kg 投与群の切歯エナメル質表層に, 横縞状にエナメル質の形成障害部位が繰り返し出現し, その間には, 島状にエナメル質が形成されている像が観察された. 光学顕微鏡による所見では, 形成障害部位のエナメル芽細胞は, 象牙質から離れ, 細胞の長径が短縮するなどの変化が観察された. 一方, 島状のエナメル質に面しているエナメル芽細胞は, 遠心部に多数の濃染性顆粒が貯溜している像が認められた. 超軟 X 線写真像では, 島状のエナメル質には, 表面と平行にいくつかの低石灰化線が認められた. 以上の結果より, HEBP 連続投与により生じるエナメル質の形成障害は, エナメル質基質形成の阻害と共に, エナメル質の石灰化の抑制に起因するものであることが示唆された.
ISSN:0015-5691