ドーパミン系除神経ラットの線条体へ移植した胎仔神経細胞による運動機能の改善

黒質線条体ドーパミン(DA)系を一側性に除神経した成熟ラットの線条体に胎仔の中脳神経細胞を懸濁化して移植し,損傷機能の修復機構を明らかにする目的で,apomorphine誘発の旋回行動評価による運動機能回復,移植した神経細胞の形態学的特徴およびDAと代謝産物の量in vivo遊離について検討した.移植後2週目,apomorphine誘発の反対側性旋回行動は移植をうけた26例中11例のラットにおいて有意に抑制され,観察期間の10週目まで持続した.残る15例のうち3例では,移植後4週目まで旋回行動は有意に抑制されたが,5週目に抑制は消失した.残りの12例では,移植後1度も旋回行動の抑制はみられなか...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1987, Vol.90(2), pp.125-132
Hauptverfasser: 檜山, 幸孝, 渡邊, 裕司, 三浦, 圭子, 杉田, 昭栄, 田中, 宏一, 寺澤, 捷年
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:黒質線条体ドーパミン(DA)系を一側性に除神経した成熟ラットの線条体に胎仔の中脳神経細胞を懸濁化して移植し,損傷機能の修復機構を明らかにする目的で,apomorphine誘発の旋回行動評価による運動機能回復,移植した神経細胞の形態学的特徴およびDAと代謝産物の量in vivo遊離について検討した.移植後2週目,apomorphine誘発の反対側性旋回行動は移植をうけた26例中11例のラットにおいて有意に抑制され,観察期間の10週目まで持続した.残る15例のうち3例では,移植後4週目まで旋回行動は有意に抑制されたが,5週目に抑制は消失した.残りの12例では,移植後1度も旋回行動の抑制はみられなかった.旋回行動の抑制がみられたラットでは移植した神経細胞が軸索突起を宿主の線条体内へ伸長しているのが確認された.移植後に旋回行動が有意に抑制されたラットを麻酔下に脳内透析すると,線条体からDA,3,4-dihydroxyphenylacetic acid (DOPAC)およびhomovanillic acid (HVA)の遊離が認められ,methamphetamine投与によりDAの遊離量は増加し,DOPACとHVAの遊離量は減少した.これらの結果から,移植された神経細胞は宿主の線条体へ軸索突起を伸長して新しい神経回路を形成し,DAを遊離することによって損傷機能を回復させる可能性が示唆された.また,これらの神経細胞あるいは軸索突起はmethamphetamineに対して反応性を有することが示された.
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.90.125