Oxatomide(KW-4354)の薬理作用(第5報) 中枢および末梢神経系におよぼす影響

抗アレルギー薬oxatomideの中枢および末梢神経系に対する薬理作用を検討し,以下の結果を得た.1)マウス,ラットにoxatomideを経口投与した場合,100mg/kg以下では行動に著変は認められなかったが,300mg/kg以上の投与量では投与初期に軽度の鎮静が,投与3時間以後に外的刺激に対する反応性の亢進が観察きれた.対照薬のdiphehydramineは低用量(10~30mg/kg)で鎮静,筋緊張度の低下,散瞳を来たし,高用量(100mg/kg以上)では著しい中枢興奮症状を発現した.2)マウスのpentetrazol痙攣,strychnine痙攣,hexobarbital催眠,oxot...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1983, Vol.81(3), pp.245-266
Hauptverfasser: 大森, 健守, 石井, 秀衛, 周藤, 勝一, 中溝, 喜博
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:抗アレルギー薬oxatomideの中枢および末梢神経系に対する薬理作用を検討し,以下の結果を得た.1)マウス,ラットにoxatomideを経口投与した場合,100mg/kg以下では行動に著変は認められなかったが,300mg/kg以上の投与量では投与初期に軽度の鎮静が,投与3時間以後に外的刺激に対する反応性の亢進が観察きれた.対照薬のdiphehydramineは低用量(10~30mg/kg)で鎮静,筋緊張度の低下,散瞳を来たし,高用量(100mg/kg以上)では著しい中枢興奮症状を発現した.2)マウスのpentetrazol痙攣,strychnine痙攣,hexobarbital催眠,oxotremorine振せん,physostigmine,reserpine眼瞼下垂,酢酸writhingおよびラット正常体温に対し,oxatomideの最大量(マウス:1000mg/kg,ラット : 300mg/kg)を経口投一与してもほとんど影響せず,影響した場合でもごく軽微であった.diphenhydramineは低用量から催眠増強,oxotremorine振せん抑制,pkysostigmine致死抑制およびreserpine眼瞼下垂作用を発現した.3)慢性電極植込み家兎を用い,自発脳波,音または中脳網様体刺激脳波覚醒反応,海馬および扁桃核後放電におよぼす影響を検討したが,oxatomideは2mg/kg i.v.で自発脳波の傾眠パターン化を惹起した以外,作用は認められなかった.diphenhydramineは低用量(0.5mg/kg i.v.)から自発脳波を傾眠パターン化するとともに脳波覚醒反応を抑制した.後放電には両薬物とも作用しなかった.ネコ脊髄反射にも両薬物は作用しなかった.4)ラットの条件回避反応には両薬物とも作用しなかった.5)oxatomideは神経筋接合部遮断作用(家兎前脛骨筋標本)および局所麻酔作用(モルモット)を示さなかった.diphenhydramineは低濃度から局所麻酔作用を発現した.以上の成績から,oxatomideは中枢および末梢神経系に対する副作用が比較的少ない抗アレルギー薬であると考えられた.
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.81.245