潰瘍性大腸炎の外科的治療後に広範な気管支拡張症,細気管支炎を発症した2例

背景.炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は,寛解と再燃を繰り返す原因不明の慢性炎症性疾患であるが,それに伴う呼吸器病変については海外では言及されているものの本邦では報告は少ない.内科的治療に抵抗性の潰瘍性大腸炎の外科的治療(大腸切除)後に広範な気管支拡張症,細気管支炎,肺炎を発症した2例を経験した.症例.症例1は40歳女性,大腸切除術後2か月頃から,症例2は62歳女性,大腸部分切除術後4か月頃から,それぞれ発熱や呼吸器症状が出現,胸部CTにて気管支拡張,細気管支炎を疑う粒状影や浸潤影を認めた.気管支鏡にて2例ともに黄白色の多量の喀痰と,気管支粘膜の浮腫...

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Veröffentlicht in:気管支学 2014/11/25, Vol.36(6), pp.637-643
Hauptverfasser: 七海, 香, 砂金, 秀章, 藤原, 高智, 吉川, 充浩, 大河内, 康実, 笠井, 昭吾, 徳田, 均
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は,寛解と再燃を繰り返す原因不明の慢性炎症性疾患であるが,それに伴う呼吸器病変については海外では言及されているものの本邦では報告は少ない.内科的治療に抵抗性の潰瘍性大腸炎の外科的治療(大腸切除)後に広範な気管支拡張症,細気管支炎,肺炎を発症した2例を経験した.症例.症例1は40歳女性,大腸切除術後2か月頃から,症例2は62歳女性,大腸部分切除術後4か月頃から,それぞれ発熱や呼吸器症状が出現,胸部CTにて気管支拡張,細気管支炎を疑う粒状影や浸潤影を認めた.気管支鏡にて2例ともに黄白色の多量の喀痰と,気管支粘膜の浮腫を認めた.症例1では喀痰・BALの細菌学的検索は陰性で,BALF中の細胞分画でリンパ球増多を認めた.症例2では喀痰培養でHaemophilus influenzaeが,BALでBranhamella catarrhalisが検出されたが,細胞分画に異常は見られなかった.経過.2例ともに,抗菌薬は無効で,全身性および吸入ステロイド治療が有効であった.結論.これらの経過から,炎症性腸疾患に伴う気道病変には,感染だけでなく宿主免疫の異常も関わっている可能性がある.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.36.6_637