31. 経気管支肺生検(TBLB)が診断の決め手となった慢性咳嗽の1例

症例は80歳の女性. 2006年12月より咳嗽が出現し近医を受診した. 喀痰検査で異常所見は認めず. 吸入ステロイド, 鎮咳薬, プロトンポンプインヒビターにても改善を認めなかった. このため, 精査目的にて当院に入院となった. 胸部HRCTでは, 肺野全体にごく微細な粒状影の散在と縦隔にやや扁平なリンパ節を数個認めていた. 画像所見からは, サルコイドーシスや粟粒結核の可能性が考えられた. 気管支内視鏡検査を行い, 右B3a及び右B2bにてTBLBを施行したところ異型細胞を認め, 免疫染色にてCK7陽性, CK20陰性であり腺癌と診断された. 病理組織では, 肺原発として矛盾しないものであっ...

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Veröffentlicht in:気管支学 2008, Vol.30 (3), p.162-163
Hauptverfasser: 尾形佳子, 江田良輔, 神徳済, 岸野大蔵, 近森研一, 青江啓介, 片山英樹, 譲尾昌太, 村上一生, 前田忠士, 上岡博
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は80歳の女性. 2006年12月より咳嗽が出現し近医を受診した. 喀痰検査で異常所見は認めず. 吸入ステロイド, 鎮咳薬, プロトンポンプインヒビターにても改善を認めなかった. このため, 精査目的にて当院に入院となった. 胸部HRCTでは, 肺野全体にごく微細な粒状影の散在と縦隔にやや扁平なリンパ節を数個認めていた. 画像所見からは, サルコイドーシスや粟粒結核の可能性が考えられた. 気管支内視鏡検査を行い, 右B3a及び右B2bにてTBLBを施行したところ異型細胞を認め, 免疫染色にてCK7陽性, CK20陰性であり腺癌と診断された. 病理組織では, 肺原発として矛盾しないものであった. PET検査で, 右肺門リンパ節, 縦隔リンパ節にFDGの集積亢進を認めたが, 肺野をはじめ他の部位には集積亢進を認めなかった. 以上により, 原発巣は明らかではないものの咳嗽の原因は肺癌による癌性リンパ管症と診断した. 本症例は慢性咳嗽で発症し, 気管支内視鏡検査にて初めて診断し得た癌性リンパ管症の1例であり若干の考察を加えて報告する.
ISSN:0287-2137