9. 片側性胸水貯留に対し局所麻酔下胸腔鏡にて診断した悪性胸膜中皮腫の2例(第29回日本呼吸器内視鏡学会北海道支部会)

悪性胸膜中皮腫は画像上典型的な所見を示さないことも多く, 診断が遅れ早期治療の機会を逸する場合がある. この度, 数年間原因不明の胸水として経過観察中に, 局所麻酔下胸腔鏡による胸膜生検にて悪性胸膜中皮腫と診断した2例を報告する. 1例目は74歳男性で, 限局型肺小細胞癌の長期生存例. 職業歴は家具屋と運送業であった. 2001年1月に肺小細胞癌と診断され, 放射線化学療法を施行しPR, その後は腫瘤の増大なく経過していた. 2001年10月に右胸水が出現し, 徐々に胸水の増加がみられたため2005年3月に胸水穿刺を行った. 原因を特定できる所見は得られず, 経過観察となった. 2007年4月...

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Veröffentlicht in:気管支学 2008/01/25, Vol.30(1), pp.48
Hauptverfasser: 剱持, 喜之, 中野, 亮司, 伊志嶺, 篤, 村上, 洋平, 鹿野, 哲
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:悪性胸膜中皮腫は画像上典型的な所見を示さないことも多く, 診断が遅れ早期治療の機会を逸する場合がある. この度, 数年間原因不明の胸水として経過観察中に, 局所麻酔下胸腔鏡による胸膜生検にて悪性胸膜中皮腫と診断した2例を報告する. 1例目は74歳男性で, 限局型肺小細胞癌の長期生存例. 職業歴は家具屋と運送業であった. 2001年1月に肺小細胞癌と診断され, 放射線化学療法を施行しPR, その後は腫瘤の増大なく経過していた. 2001年10月に右胸水が出現し, 徐々に胸水の増加がみられたため2005年3月に胸水穿刺を行った. 原因を特定できる所見は得られず, 経過観察となった. 2007年4月に再び右胸水の増量が認められたため, 局所麻酔下胸腔鏡を施行し, 生検結果より悪性胸膜中皮腫と診断した. 胸部CTでは経過を通じて左胸膜にわずかな肥厚を認めたが, プラークは認めなかった. 2例目は65歳男性で, 職業歴として空調設備業に従事していた. 2004年に他院にて左胸水貯留を指摘され, 胸水穿刺を行われていたが, 原因を特定できず経過観察となっていた. 健診にて2007年1月に胸部X線写真を撮影したところ, 左胸水貯留を認め当院受診となった. 胸部CTでは, 両側胸膜のわずかな肥厚およびプラークを認めていた. 局所麻酔下胸腔鏡を施行し, 生検より悪性胸膜中皮腫と診断した. いずれの症例も, 数年前の胸水検査では特異的所見がみられず経過観察となっていた. 胸水細胞診による悪性胸膜中皮腫診断の感度は高くなく, またヒアルロン酸が上昇しない場合もみられ, 胸水穿刺のみでの悪性胸膜中皮腫の否定は困難と考えられる. 局所麻酔下胸腔鏡による診断は感度70~98%との報告があり診断に有用と考えられる. 改善しない胸水貯留に対しては, 積極的な胸腔鏡による精査が望ましいと考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.30.1_48_1