喀血症例に対する気管支動脈造影(BAG)の有用性

喀血はしばしば遭遇する症状であり, 呼吸器科医にとって重要な病態と思われる. しかし, その原因や出血部位の同定は困難なことが多い. そこで最近経験した喀血症例に対するBAGの有用性を検討した. 〔対象および方法〕過去3年間で喀血を主訴に当科を受診し, 気管支鏡検査で出血部位が同定された45例の内, 明らかな腫瘍や細菌感染などの原因を認めなかった30症例を対象とし, 全例にBAGを施行しその所見を検討した. 〔結果〕対象症例は男性18例, 女性12例で, 年齢は30~70歳(平均年齢56.7歳)であった. 胸部レントゲン所見は, 正常または血液の吸入によると思われた浸潤影のみがほとんどで, 明...

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Veröffentlicht in:気管支学 2000, Vol.22 (3), p.40-40
Hauptverfasser: 阿久澤浩司, 高橋典明, 須金紀男, 山口美樹, 宮城聖子, 木曽原朗, 大地康司, 松本建志, 大森千春, 古屋佳昭, 赤柴恒人, 堀江孝至
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:喀血はしばしば遭遇する症状であり, 呼吸器科医にとって重要な病態と思われる. しかし, その原因や出血部位の同定は困難なことが多い. そこで最近経験した喀血症例に対するBAGの有用性を検討した. 〔対象および方法〕過去3年間で喀血を主訴に当科を受診し, 気管支鏡検査で出血部位が同定された45例の内, 明らかな腫瘍や細菌感染などの原因を認めなかった30症例を対象とし, 全例にBAGを施行しその所見を検討した. 〔結果〕対象症例は男性18例, 女性12例で, 年齢は30~70歳(平均年齢56.7歳)であった. 胸部レントゲン所見は, 正常または血液の吸入によると思われた浸潤影のみがほとんどで, 明らかに喀血に関連した陰影は少なかった. 出血部位としては右上葉に多い傾向があった. BAG所見は, 拡張蛇行や血管増生のみでなく, シャント, 瘤, 血管外漏出も認め, 気管支鏡での出血部位との比較で一致率が高かった. 〔まとめ〕喀血症例に対するBAGは, 出血部位の同定と明らかな気道病変を認めない症例に対する原因検索に有用と思われた.
ISSN:0287-2137