5. 油性フェルトペンを用いて明瞭化されたパラトグラム発音検査法

【緒言】ヒトの口腔は発音器官の一部であるので, 義歯装着などにより音声に影響が及ぼされることである. 義歯製作過程で患者の発音機能と義歯形態の適合を図ることは補綴学的に有意義だが, チェアーサイドで簡便に行える発音検査で, 上顎義歯の口蓋面にアルジネート粉末を散布させて, 発音時の舌の接触範囲を調べるパラトグラム発音検査法がある. 検査は, 蝋義歯あるいは黒色板を重ねた義歯で行うが, 蝋義歯で採得すると, 背景の口蓋面が蝋, レジンであり, 色が不均一で明るいので, パラトグラムが不明瞭で微細な形態の観察が困難である. また黒色板を用いれば観察は明瞭になるが, 形態修正を行う際, 修正後の確認...

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Veröffentlicht in:昭和歯学会雑誌 2004, Vol.24 (4), p.410-410
Hauptverfasser: 新井元, 積田正和, 佐藤裕二, 北川昇, 杉山一朗, 杉山雅哉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【緒言】ヒトの口腔は発音器官の一部であるので, 義歯装着などにより音声に影響が及ぼされることである. 義歯製作過程で患者の発音機能と義歯形態の適合を図ることは補綴学的に有意義だが, チェアーサイドで簡便に行える発音検査で, 上顎義歯の口蓋面にアルジネート粉末を散布させて, 発音時の舌の接触範囲を調べるパラトグラム発音検査法がある. 検査は, 蝋義歯あるいは黒色板を重ねた義歯で行うが, 蝋義歯で採得すると, 背景の口蓋面が蝋, レジンであり, 色が不均一で明るいので, パラトグラムが不明瞭で微細な形態の観察が困難である. また黒色板を用いれば観察は明瞭になるが, 形態修正を行う際, 修正後の確認のために新たに黒色板を作ることになり, 治療回数が増え, 手間がかかり, 簡便に行えない. そこで本報では, 全部床義歯の蝋義歯試適時に, 黒色の油性フェルトペンを用いてパラトグラム発音検査の明瞭化を図った方法を紹介する. 【方法】蝋義歯の咬合関係や人工歯排列位置が適切であるか検査後, 発音検査を行う. その際, 蝋義歯口蓋面を黒の油性ペンで均一に塗りつぶし, 被検音のパラトグラムを採得した. 被検音の明瞭度とパラトグラムの標準形態を基に, 口蓋面の形態修正を行った. 修正した部分を再び塗りつぶし, 確認の検査を行った. 被検音が正しく発音されることを確認後, 義歯を完成させた. 【結果および考察】蝋義歯試適時の発音検査で, 黒色の油性ペンで蝋義歯の口蓋面を黒く塗りつぶすことで, 明瞭なパラトグラムが観察できた. この方法を用いることで, チェアーサイドで発音機能を簡便に検査し, それを基に形態修正が行え, さらに再確認ができた. その結果, より質の高い補綴治療を行うことができ, 患者のQOLの向上つながることが示唆された.
ISSN:0285-922X