後頭蓋窩硬膜動静脈奇形について
硬膜動静脈奇形(以下硬膜AVMと略す)はこれまでに文献上約130例の報告がある. この中の7~8割が後頭蓋窩のものである. 手術は約半数に行なわれているが, ほとんどは栄養血管の結紮のみであり, 開頭術にてAVMを処理したものは30例弱である. われわれは長期間の症状経過を持ち, クモ膜下出血と脳内血腫を伴った珍しい症例と, 術後7年間の経過観察をし得た症例を報告し, 手術の問題点等につき病理および文献的考察を加え検討した. 症例1は強度の頭痛と視野障害で入院. クモ膜下出血と後頭部雑音を認め, 脳血管写・気脳写にて後頭動脈より横静脈洞に流入しさらに脳内血管に流出している硬膜AVMで, 脳内血...
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Veröffentlicht in: | Neurologia medico-chirurgica 1975, Vol.15 (suppl), p.137-138 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 硬膜動静脈奇形(以下硬膜AVMと略す)はこれまでに文献上約130例の報告がある. この中の7~8割が後頭蓋窩のものである. 手術は約半数に行なわれているが, ほとんどは栄養血管の結紮のみであり, 開頭術にてAVMを処理したものは30例弱である. われわれは長期間の症状経過を持ち, クモ膜下出血と脳内血腫を伴った珍しい症例と, 術後7年間の経過観察をし得た症例を報告し, 手術の問題点等につき病理および文献的考察を加え検討した. 症例1は強度の頭痛と視野障害で入院. クモ膜下出血と後頭部雑音を認め, 脳血管写・気脳写にて後頭動脈より横静脈洞に流入しさらに脳内血管に流出している硬膜AVMで, 脳内血腫を伴っていた. 手術は外頸動脈と後頭動脈を結紮し, 開頭術にて脳内血腫除去と横静動脈洞摘出を行なった. 症例2は7年前に失見当識とゲルストマン症候群にて入院. 耳介後部雑音あり, 脳血管写にて後頭動脈より栄養された後頭部皮下血管腫とそれに連なる硬膜AVMがあり, テント動脈も流入し横静脈洞を経て脳内血管に流入していた. 外頸動脈と後頭動脈を結紮し, 開頭術にて硬膜から脳への流出血管をクリップした. 現在, 脳血管写でテント動脈から横静脈洞が造影されるが他覚的に異常はない. 後頭蓋窩硬膜AVMは後頭動脈・中硬動脈・テント動脈を栄養血管として横静脈洞に注ぐものが多い. 頭痛・雑音・クモ膜下出血・水頭症・神経症状などの脳実質AVMと区別できない症状を呈するし, 栄養血管を結紮してもつぎつぎと他の動脈の硬膜枝や筋肉枝が発達して症状が再発することも多い. われわれの摘出標本によると静脈洞自体がnidusと考えられるので, できるならば開頭術・AVM摘出を行ないたいものであり, 摘出せずして治癒することは難しいといえよう. |
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ISSN: | 0470-8105 |