骨髄異形成症候群に合併したクームス陰性自己免疫性溶血性貧血

骨髄異形成症候群(MDS)は,造血不全と造血腫瘍の特徴を併せ持つ疾患である.造血不全の一因として免疫機構の異常が指摘されており,実際,10~30%の症例で自己免疫疾患の合併を認める.一方,自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は成熟赤血球に対する自己抗体産生に起因しており,通常は直接クームス試験が陽性となる.しかしながら,一部に直接クームス試験陰性のAIHAが存在し,その場合は赤血球結合IgG分子数の決定が診断に重要である.今回,MDSにクームス陰性AIHAを合併した症例を経験した.MDSに対してDNAメチル化阻害薬azacitidineの投与を行ったところ,造血不全の著明な改善,末梢血芽球の消失お...

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Veröffentlicht in:日本輸血細胞治療学会誌 2015/08/30, Vol.61(4), pp.468-473
Hauptverfasser: 永井, 正, 上原, 英輔, 斉藤, 桐子, 亀崎, 豊実, 小澤, 敬也, 室井, 一男, 神田, 善伸
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:骨髄異形成症候群(MDS)は,造血不全と造血腫瘍の特徴を併せ持つ疾患である.造血不全の一因として免疫機構の異常が指摘されており,実際,10~30%の症例で自己免疫疾患の合併を認める.一方,自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は成熟赤血球に対する自己抗体産生に起因しており,通常は直接クームス試験が陽性となる.しかしながら,一部に直接クームス試験陰性のAIHAが存在し,その場合は赤血球結合IgG分子数の決定が診断に重要である.今回,MDSにクームス陰性AIHAを合併した症例を経験した.MDSに対してDNAメチル化阻害薬azacitidineの投与を行ったところ,造血不全の著明な改善,末梢血芽球の消失およびMDSの進行マーカーであるWT1 mRNAの低下を認めた.興味深いことに,azacitidine療法の過程で溶血所見が著明に改善し,azacitidineによりAIHAも同時に改善したものと考えられた.MDSに溶血性貧血を合併した例では,直接クームス試験陰性の場合もクームス陰性AIHAを疑う必要がある.また,azacitidineがAIHAを改善する可能性があり,その機序の解明が期待される.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.61.468