当院における成人造血器悪性腫瘍患者に対する顆粒球採取・輸血4症例のまとめ
造血器悪性腫瘍に対する化学療法及び造血幹細胞移植施行時の長期間の好中球減少は, 重症細菌感染症, 深部真菌感染症のリスクが高く, 予後に大きく関わる合併症である. これに対し1970年代より試みられていた顆粒球輸血は, G-CSF製剤の臨床応用と成分採血装置の改良により最近再び注目されており, その有効性の報告もなされるようになった. 昨年1年間に当院で顆粒球輸血を施行した造血器悪性腫瘍患者4症例について文献的考察を加え報告する. 症例は全例急性骨髄性白血病の成人で, うち3人は造血幹細胞移植を施行された. 合併した重症感染症は肝膿瘍2例, 肛門周囲膿瘍1例, 口腔内膿瘍1例であった. ドナー...
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Zusammenfassung: | 造血器悪性腫瘍に対する化学療法及び造血幹細胞移植施行時の長期間の好中球減少は, 重症細菌感染症, 深部真菌感染症のリスクが高く, 予後に大きく関わる合併症である. これに対し1970年代より試みられていた顆粒球輸血は, G-CSF製剤の臨床応用と成分採血装置の改良により最近再び注目されており, その有効性の報告もなされるようになった. 昨年1年間に当院で顆粒球輸血を施行した造血器悪性腫瘍患者4症例について文献的考察を加え報告する. 症例は全例急性骨髄性白血病の成人で, うち3人は造血幹細胞移植を施行された. 合併した重症感染症は肝膿瘍2例, 肛門周囲膿瘍1例, 口腔内膿瘍1例であった. ドナーは血液型一致の血縁者もしくは配偶者で, 1人の患者に対し1~3人のドナーから平均2.9回ずつ顆粒球を採取した. 顆粒球採取は, ドナーにG‐CSF単独あるいはG-CSFとdexamethasone併用による前処置後血液成分分離装置(COBE spectra(R))によるアフェレーシス法で採取した. 採取された顆粒球は15Gyの放射線照射後速やかに患者に輸血された. 平均採取顆粒球数は1.87×10 10個/回で患者体重あたり2.83×10 8個/回, 患者1人あたりの顆粒球輸血回数は2~8回で中央値は5回であった. ドナーの有害事象は軽度の倦怠感骨痛・筋肉痛, 微熱で重篤な合併症はなかった. また顆粒球輸血による患者の合併症は認められなかった. 顆粒粒球輸血後4例全てにおいて発熱CRPの低下を認め, 現在も全例生存中である. 顆粒球輸血は, ドナーより安全な採取が可能であるとともに臨床的に有効と考えられ, 重症感染症併発の好中球減少症に対し考慮すべき治療法と考えられた. |
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ISSN: | 1881-3011 |