保存前白血球除去に用いる全血用白血球除去フィルター付きクローズドバッグシステムの性能評価

血液製剤中の残存白血球は, 非溶血性発熱反応(NHFTR)1), 同種抗体産生2), サイトメガロウィルス(CMV)3)の伝播などの輸血副作用の原因として考えられ, 近年その輸血副作用の予防を目的に, ベッドサイドにおいて白血球除去フィルターが広く使われるようになった. 一方血液製剤中の白血球は, 保存期間中に酵素を放出し4), 赤血球の溶血や血小板の凝集能低下などの細胞障害を引き起こすだけでなく, サイトカインなどの生理活性物質5)を産生してNHFTRを引き起こすと考えられている5)6). さらにウィルスや細菌を貪食した白血球は早期に除去されなければ, 死滅して血液製剤中に病原体が拡散する可能性が指摘されている5)7). また保存中のマクロアグリゲートの生成8)にも残存白血球の関与が考えられている. これらの問題点を解決するために, 採血後, 保存前にあらかじめ白血球を除去する方法(以下, 保存前白血球除去)が考案され, 日本国内でもその導入が検討されている. そこで我々は, 従来の採血バッグシステムに全血用白血球除去フィルターを組み込んだ保存前白血球除去システムを用いて, その白血球除去性能と白血球除去製剤の品質を検討した.