貧血を契機に発見されたDiego式血液型不適合の1例
Diego式血液型はDi^a とDi^b の2つの抗原からなり, 抗Diego抗体のほとんどすべてが妊娠や輸血等による免疫抗体で, 新生児溶血性疾患の原因となる. 今回我々は, Di^b 不適合溶血性貧血の1例を経験したので報告する. 症例:母は34歳, 0経妊0経産で23歳時に輸血歴1回あり, 児は在胎40週1日, 出生体重3,570g, 他院にて頭位経膣分娩で出生の男児であった. 日齢4に光線療法1クール施行され日齢5で退院した. 退院時血清総ビリルビン13.5mg/dL,Ht47%であり, その後も定期的に外来でフォローしていたが, 黄疸の増悪は認められなかった. しかし, 日齢31には...
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Zusammenfassung: | Diego式血液型はDi^a とDi^b の2つの抗原からなり, 抗Diego抗体のほとんどすべてが妊娠や輸血等による免疫抗体で, 新生児溶血性疾患の原因となる. 今回我々は, Di^b 不適合溶血性貧血の1例を経験したので報告する. 症例:母は34歳, 0経妊0経産で23歳時に輸血歴1回あり, 児は在胎40週1日, 出生体重3,570g, 他院にて頭位経膣分娩で出生の男児であった. 日齢4に光線療法1クール施行され日齢5で退院した. 退院時血清総ビリルビン13.5mg/dL,Ht47%であり, その後も定期的に外来でフォローしていたが, 黄疸の増悪は認められなかった. しかし, 日齢31にはHt20%, Hb7.0g/dLと貧血が進行しており, 哺乳不良及び体重増加不良も見られたことから, 精査目的で当科紹介入院となった. 児はO型Rh(+), 母はA型Rh(+)で児のクームス試験は直接・間接ともに陰性であったが, 母の不規則抗体が陽性であったことから本人及び父母の主要血液型判定を血液センターで行った. その結果, 母のDiego式血液型はDi(a+b-)であり, 血清中に抗Di^b 抗体を持つまれな血液型(日本人の0.15%)であることが分かった. 父はDi(a-b+)(日本人の91.6%), 児はDi(a+b+)(日本人の8.3%)で, 母児間Di^b 血液型不適合による溶血性貧血と考えられた. その後も貧血は徐々に進行したため, 日齢38に洗浄赤血球輸血を施行した. 考察:Diego式血液型不適合は頻度が少なく軽症例が多いため, 新生児期に見逃される可能性が高い. しかし, 本症例のように治療が必要となる場合もあり, 新生児溶血性疾患の鑑別疾患の一つとして念頭におくべきである. また, 妊産婦の不規則抗体スクリーニングの導入も望まれる. |
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ISSN: | 0546-1448 |