加熱第VIII因子製剤とインヒビターの発生に関する検討

【目的】後天性免疫不全症候群(AIDS)に対する対策として加熱第VIII因子製剤が開発され, その安全性と有効性に関してはすでに臨床的にも証明されている. しかし, インヒビターの発生という点についての報告はまだ少ない. そこで多施設におけるインヒビター発生に関して検討してみた. 【方法】まず昭和61年6月までの3年間に東京荻窪ヘモフィリアセンターにおいて経験した血友病A新鮮例20例を, 非加熱製剤投与群11例ならびに加熱製剤投与群9例に分けインヒビター発生について検討した. また, 3施設の新鮮例ならびに非新鮮例総計約700例におけるインヒビター発生についても検索した. 【成績】東京荻窪ヘモ...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1987, Vol.33 (2), p.167-167
Hauptverfasser: 稲垣稔, 瀧正志, 三浦琢磨, 斉藤伸夫, 福武勝博, 池松正次朗, 長沢洋, 三間屋純一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】後天性免疫不全症候群(AIDS)に対する対策として加熱第VIII因子製剤が開発され, その安全性と有効性に関してはすでに臨床的にも証明されている. しかし, インヒビターの発生という点についての報告はまだ少ない. そこで多施設におけるインヒビター発生に関して検討してみた. 【方法】まず昭和61年6月までの3年間に東京荻窪ヘモフィリアセンターにおいて経験した血友病A新鮮例20例を, 非加熱製剤投与群11例ならびに加熱製剤投与群9例に分けインヒビター発生について検討した. また, 3施設の新鮮例ならびに非新鮮例総計約700例におけるインヒビター発生についても検索した. 【成績】東京荻窪ヘモフィリアセンターにおける新鮮例ではインヒビターの発生は非加熱製剤投与群では1例も認められなかったが, 加熱製剤投与群では2例(22%)にインヒビターが発生した. その2例のインヒビターの最高値はそれぞれ19.1, 80BU/mlで, 1例がhigh responderであった. 初めて輸注を受けた年齢は8ヶ月ならびに6ヶ月で, 投与された製剤は異なる2種類のもので, ともに乾燥加熱製剤であった. 3施設におけるインヒビター発生数は合計5例で, 上記2例に加え新鮮例1例, 非新鮮例2例に認められた. それら3例のインヒビター値の最高値は, 72BU/ml(high responder), 19, 24BU/ml(ともにlow responder)であった. 年齢はそれぞれ1歳, 38歳, 64歳で, 使用した製剤は乾燥加熱製剤1種ならびに液状加熱製剤1種であった. 加熱製剤とインヒビター発生の関連に関してはさらに詳細に基礎的検討ならびに長期にわたる臨床的検討が継続されていかねばならないと思われる.
ISSN:0546-1448