輸血後肝炎予防を目的とした血漿増量剤並びに赤血球の術時活用の提唱

保存血の普及が外科領域に寄与した功績は極めて大きいが, 一方輸血後肝炎の問題は今日外科領域に於ける大きな課題として拾頭して来た. 肝炎撲滅の根本的対策は今後の問題でありあらゆる分野から強力に推進されねばならないものであろうが, 日常臨床に於いて, 現実に吾々が可能な方法は輸血の使用量をなるべく節減することであろう. 教室ではかゝる見地から検討し, 肝炎防止のための輸血輸液の一規準を実施しているので, 茲にその概要を述べ御批判を仰ぐ次第である. (1)教室における従来の保存血輸血実施期間中の肝炎発生の実態. 教室に於いて従来行われて来た手術に際する輸血の使用量と輸血後肝炎の発生状況の一年間に於け...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1964, Vol.10 (3/5), p.65-67
Hauptverfasser: 井口潔, 池尻泰二, 倉重正敏
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:保存血の普及が外科領域に寄与した功績は極めて大きいが, 一方輸血後肝炎の問題は今日外科領域に於ける大きな課題として拾頭して来た. 肝炎撲滅の根本的対策は今後の問題でありあらゆる分野から強力に推進されねばならないものであろうが, 日常臨床に於いて, 現実に吾々が可能な方法は輸血の使用量をなるべく節減することであろう. 教室ではかゝる見地から検討し, 肝炎防止のための輸血輸液の一規準を実施しているので, 茲にその概要を述べ御批判を仰ぐ次第である. (1)教室における従来の保存血輸血実施期間中の肝炎発生の実態. 教室に於いて従来行われて来た手術に際する輸血の使用量と輸血後肝炎の発生状況の一年間に於ける調査成績を示すと表1の様である. 即ち, 620例の輸血症例中, 黄疸発生患者は21例, 3.5%の発生頻度である. 輸血量別にみると, 200cc以下の症例では発生が見られず, それ以上200~400ccでは1.3%, 400~600ccでは4%, 600~1000ccでは5%, 1000~2000ccでは6.8%であるが, 2000cc以上の輸血例では約3%と, やゝ低くなっている.
ISSN:0546-1448