II-P1-1 緩和ケア病棟における終末期がん患者の経口摂取状況

【目的】がん終末期には, 病態に伴う意識障害, 悪心・嘔吐, 食欲低下, 手術や放射線療法による摂食・嚥下障害に加えて, 味覚障害, 消化管狭窄などによって経口摂取が困難となっている患者は多い. しかし, これまでにがん終末期における摂食・嚥下領域に関する報告はあまりみられない. 今回, 当院緩和ケア病棟における終末期がん患者の経口摂取状況について報告した. 【対象と方法】平成20年9月~平成21年3月に当院緩和ケア病棟に入院し, 経口摂取状況の調査が可能であった66例(男性38例, 女性28例)を対象に, 基本情報, 原疾患, 入院時および最終経口摂取時の食形態, 最終経口摂取日などについて...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2009, Vol.13 (3), p.490-490
Hauptverfasser: 竹腰加奈子, 藤井航, 児玉佳之, 伊藤彰博, 永田千里, 坂口貴代美, 東口高志, 園田茂, 武重榮子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】がん終末期には, 病態に伴う意識障害, 悪心・嘔吐, 食欲低下, 手術や放射線療法による摂食・嚥下障害に加えて, 味覚障害, 消化管狭窄などによって経口摂取が困難となっている患者は多い. しかし, これまでにがん終末期における摂食・嚥下領域に関する報告はあまりみられない. 今回, 当院緩和ケア病棟における終末期がん患者の経口摂取状況について報告した. 【対象と方法】平成20年9月~平成21年3月に当院緩和ケア病棟に入院し, 経口摂取状況の調査が可能であった66例(男性38例, 女性28例)を対象に, 基本情報, 原疾患, 入院時および最終経口摂取時の食形態, 最終経口摂取日などについて検討を行った. 【結果】平均年齢は71.0歳, 平均入院日数40.2日. 原疾患は肺癌, 胃癌, 頭頸部癌, 大腸癌, 膵癌の順に多かった. 入院時の食形態は常食, 軟菜, 絶食の順に多く, 最終経口摂取時の食形態は常食, 軟菜, 栄養補助食の順であった. 入院時に比べ食形態が改善したのは30.3%, 低下したのは21.2%であり, 入院時絶食群では81.8%が, 何らかの形態で経口摂取可能となっていた. 最終経口摂取日から退院日までの日数は平均5.15±5.63日であった. 退院前日が15例, 2日前が11例, 5日前が9例の順に多く, 死亡退院当日まで経口摂取していた患者も3例みられた. 頭頸部がん群と消化器がん群間, その他のがん群間で有意差を認めた. 【考察】入院時よりも約3割に食形態の改善がみられ, とくに入院時絶食例の約8割が少量でも経口摂取可能となったのは, NSTの介入により脱水や栄養状態が補正された影響が大きいと推察され, 栄養管理の重要性を再認識した. 緩和ケア病棟では患者の負担となる検査は施行されないことが多いが, 可及的に経口摂取を行うためにも, 今後, 終末期がん患者に対する摂食・嚥下機能評価のあり方について検討する必要があることが示唆された.
ISSN:1343-8441