I-P5-24 音響解析フリーソフト「Sonic Visualiser」を用いた嚥下評価

【はじめに】簡便かつ非侵襲的な嚥下機能の理学的評価法のひとつに頸部聴診法がある. 嚥下には個人差があり, 音だけで正常であるか否かを評価するには十分な経験を要し, 熟練しないと残留や誤嚥を見落とす危険性がある. 近年, スペクトログラムなどの音響解析により, 音を視覚化することで嚥下評価を補助することが試みられている. しかし, 音響解析ソフトは高価であり, 実用的に導入するのは容易ではない. 今回, 音楽データなどの音響解析用フリーソフトとして実績のある「Sonic Visualiser」を用いて嚥下音, 呼吸音などの音響信号から嚥下障害の評価を試みた. 【方法】嚥下障害を有する患者を対象に...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2009, Vol.13 (3), p.409-409
Hauptverfasser: 岡田秀人, 中村愛美, 吉田智, 鈴木靖志, 大宿茂
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】簡便かつ非侵襲的な嚥下機能の理学的評価法のひとつに頸部聴診法がある. 嚥下には個人差があり, 音だけで正常であるか否かを評価するには十分な経験を要し, 熟練しないと残留や誤嚥を見落とす危険性がある. 近年, スペクトログラムなどの音響解析により, 音を視覚化することで嚥下評価を補助することが試みられている. しかし, 音響解析ソフトは高価であり, 実用的に導入するのは容易ではない. 今回, 音楽データなどの音響解析用フリーソフトとして実績のある「Sonic Visualiser」を用いて嚥下音, 呼吸音などの音響信号から嚥下障害の評価を試みた. 【方法】嚥下障害を有する患者を対象に嚥下時, 呼吸時の動態をVF動画として記録する. 同時に音響信号を輪状軟骨直下気管外側面左右の表皮上に設置した小型マイクロフォンから採取してデジタルビデオレコーダーに記録した. 記録した音響データをSonic Visualiserを用いてwavelet変換し, 時間周波数解析を行った. 【結果および考察】嚥下反射に伴う喉頭蓋の接触, 開放音ならびに食塊の流動音と思われる音響信号を「時間」「周波数」「信号成分の強さ」の3要素に分解してスペクトログラムにより解析を行い, それぞれの波形に特徴があることを捉えることができた. また嚥下障害に伴う咽頭貯留など特異的な音響信号についても解析, 分類することが可能であった. また, 人間の聴覚域を外れた音響信号を含めて音を視覚化することにより, 頸部聴診では捉え難いサイレントアスピレーションなどの障害についての判別も試みたが有意なものを見出すことはできなかった. 本ソフトを利用する際には音響に関する最低限の知識が必要となる. しかし, 頸部聴診の経験不足を補う, 客観的評価が求められる時などに容易に導入できるものとして十分な機能を有すると考える.
ISSN:1343-8441