(I-3-1)片側性大脳半球脳血管障害における3様式の嚥下動態の比較

【目的】片側の大脳半球に主病変をもつ脳血管障害患者でもしばしば摂食・嚥下障害を呈することが報告されている. しかし, 従来の報告は命令嚥下課題によって検討されており, 咀嚼嚥下動態に対する影響については言及されていない. そこで, 今回の研究では, 嚥下造影時に3種の異なる物性をもつ食物を課題として用いて, 脳卒中患者を臨床的重症度分類により層別化した上で, 健常高齢者と咀嚼嚥下動態を比較, 検討した. 【対象と方法】大脳半球脳卒中患者70人(男性47人, 女性23人, 年齢中央値72歳)に対して検査食物としてバリウム液10ml, バリウム含有コンビーフ8g, もしくはバリウム液5mlとコンビ...

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Hauptverfasser: 横山通夫, 才藤栄一, Palmer JB, 松尾浩一郎, 馬場尊, 藤井航, 尾関保則, 金森大輔, 遠藤幸男
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】片側の大脳半球に主病変をもつ脳血管障害患者でもしばしば摂食・嚥下障害を呈することが報告されている. しかし, 従来の報告は命令嚥下課題によって検討されており, 咀嚼嚥下動態に対する影響については言及されていない. そこで, 今回の研究では, 嚥下造影時に3種の異なる物性をもつ食物を課題として用いて, 脳卒中患者を臨床的重症度分類により層別化した上で, 健常高齢者と咀嚼嚥下動態を比較, 検討した. 【対象と方法】大脳半球脳卒中患者70人(男性47人, 女性23人, 年齢中央値72歳)に対して検査食物としてバリウム液10ml, バリウム含有コンビーフ8g, もしくはバリウム液5mlとコンビーフ4gの混合物を用いて嚥下造影を施行し, その側面像を記録した. 各検査食物における被験人数はそれぞれ液体52人, コンビーフ59人, 混合物62人であり, その臨床的重症度の分布はほぼ等しかった. 対照として健常高齢者32人(男性20人, 女性12人, 年齢中央値68歳)に同様の検査を行った. 記録した嚥下造影側面像から誤嚥の有無を確認した. 口腔咽頭領域を5部位に区分し, 嚥下反射開始時点の食塊先端位置を同定した. さらに食塊先端の下顎下縁通過時点から嚥下反射開始までの時間を測定した. 【結果】嚥下反射開始直前の食塊先端位置については, 混合物と液体の施行で脳卒中群が健常群より有意に深く達していた. 誤嚥, 喉頭侵入の発生については機会誤嚥例における液体を含む被験物で, 食塊の咽頭進行が深いほど喉頭侵入, 誤嚥が有意に多くなる傾向があった. 食塊位相時間では, 半固形物の口腔内時間は重症度が増すにしたがい延長する傾向を認めた. 【考察】これらの所見より, 食物物性による大脳半球脳卒中の影響は一様でなく, とくに液体を含む物性ではその影響が大きいと考えられた. これは脳卒中による口腔機能障害や嚥下反射惹起障害の結果と考えた.
ISSN:1343-8441