重い発達障害児に対する食事指導の実際

近年の傾向として, 収容施設では高齢化と重症化とが進んでいる. 演者の所属施設でもその傾向は強くなり, 呼吸障害, 消化器障害, 嚥下障害, などいくつもの障害を併せ持った入所児者が増大している. その結果として, 超重症, 準超重症児者に関わる機会が増えてきた. 重度の運動障害や, 知的障害に加えて, 生命の基本に関わるような病態を合併した入所児者に対し, 食事活動をコミュニケーションの場のひとつとしてとらえ, 何らかのやり取りを可能としたい. そのような思いから, 食事指導に取り組んできた. 重症心身障害児者のコミュニケーションについて考えてみるとき, 特に本人がどのように外界の刺激を取り...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2001, Vol.5 (suppl), p.155-158
1. Verfasser: 寺田美智子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年の傾向として, 収容施設では高齢化と重症化とが進んでいる. 演者の所属施設でもその傾向は強くなり, 呼吸障害, 消化器障害, 嚥下障害, などいくつもの障害を併せ持った入所児者が増大している. その結果として, 超重症, 準超重症児者に関わる機会が増えてきた. 重度の運動障害や, 知的障害に加えて, 生命の基本に関わるような病態を合併した入所児者に対し, 食事活動をコミュニケーションの場のひとつとしてとらえ, 何らかのやり取りを可能としたい. そのような思いから, 食事指導に取り組んできた. 重症心身障害児者のコミュニケーションについて考えてみるとき, 特に本人がどのように外界の刺激を取り込み(受容), 外界に対しどのように返して(表出)いるかを念頭に置かなければならない. また, 一口にコミュニケーションといっても, 意思を伝達しあう方法も, 内容もそれぞれに大きく異なる. 食事活動は, 口腔内に直接的に食物が入ることによって, 味覚, 温度, 食形態の違いを本人がどのように感じ食べているのかを, 確認しやすく, またそのことを介助者が感じながら(共感しながら)語りかけやすい, といったやり取り場面の成立が容易である. 反面, 本人の食事に対する嗜好や, 機能的な問題を十分に把握せずに, 関わり手の一方的な介助を進めると, 食事に対して拒否的に応じ, 食事場面を不快なものとして受け止めてしまうことになる.
ISSN:1343-8441