糖尿病の理学療法における臨床データの解釈とその活用方法
「はじめに」糖尿病患者に対する運動療法のプログラムを立案するためには, その人の糖尿病の病態を把握し, 運動療法の生理学的な効果を熟知しておく必要がある. さらに, 変化していくデータを解釈して患者にフィードバックさせることが, 指導上のポイントであると考えられる. 本稿では, 臨床上の検査データをもとに, 運動療法の考え方をどのように展開させていくかを述べてみたい. 「運動の急性効果と慢性効果-分子生物学的研究から-(図1)」1. 運動の急性効果 1)糖取り込み促進 骨格筋は糖が利用される主要な組織であり, 血糖調節に深く関わる. 運動(筋収縮)は, インスリンとは独立した機構で筋細胞への糖...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2007/06/20, Vol.34(4), pp.170-173 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「はじめに」糖尿病患者に対する運動療法のプログラムを立案するためには, その人の糖尿病の病態を把握し, 運動療法の生理学的な効果を熟知しておく必要がある. さらに, 変化していくデータを解釈して患者にフィードバックさせることが, 指導上のポイントであると考えられる. 本稿では, 臨床上の検査データをもとに, 運動療法の考え方をどのように展開させていくかを述べてみたい. 「運動の急性効果と慢性効果-分子生物学的研究から-(図1)」1. 運動の急性効果 1)糖取り込み促進 骨格筋は糖が利用される主要な組織であり, 血糖調節に深く関わる. 運動(筋収縮)は, インスリンとは独立した機構で筋細胞への糖取り込みを促進し, 結果的にはインスリンと同様の作用を示す. すなわち, 運動は急性血糖降下作用を有する. 筋細胞内への糖取り込みの役割を担う分子が糖輸送担体(glucose transporter:GLUT)4である. 運動によりGLUT4の細胞質から細胞膜への移動(トランスロケーション)が促進され, 筋細胞内へ糖が取り込まれる1). 一方, インスリンによる糖取り込みのメカニズムは, インスリン受容体からIRS, PI3キナーゼなどの複雑なシグナル伝達を介し, GLUT4のトランスロケーションが促進されると想定されている1). 通常, 「筋収縮そのものの刺激による経路」と「インスリンシグナル伝達経路」の2つの糖取り込み経路が加算効果となって表れるが, 前者はインスリンからのシグナル伝達が障害されているインスリン抵抗性状態でも正常に作動する. |
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ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.KJ00004621647 |