家族の会による痴呆性老人に対する地域リハビリテーション活動
【はじめに】痴呆性老人に対する福祉サービスは十分でなく, また痴呆に対する無理解や偏見が残っている. その中で, 痴呆性老人の家族は自ら必要なサービスを作りだし, 痴呆に関する啓蒙活動を行っている. 痴呆性老人の家族の会(以下, 家族会)によるこのような活動を調査し, 理学療法士が参加する方向性を考える. 【対象及び方法】調査対象は7つの家族会(宮城, 新潟, 群馬, 千葉, 神奈川, 京都, 大阪)であった. 家族会に対する聞き取り, 活動に関する資料調査等を行った. 調査項目は(1)活動内容, (2)成果, (3)問題点であった. 【結果】(1)活動内容 家族会は 痴呆性老人に対するデイサ...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 1999, Vol.26 (suppl-1), p.111-111 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】痴呆性老人に対する福祉サービスは十分でなく, また痴呆に対する無理解や偏見が残っている. その中で, 痴呆性老人の家族は自ら必要なサービスを作りだし, 痴呆に関する啓蒙活動を行っている. 痴呆性老人の家族の会(以下, 家族会)によるこのような活動を調査し, 理学療法士が参加する方向性を考える. 【対象及び方法】調査対象は7つの家族会(宮城, 新潟, 群馬, 千葉, 神奈川, 京都, 大阪)であった. 家族会に対する聞き取り, 活動に関する資料調査等を行った. 調査項目は(1)活動内容, (2)成果, (3)問題点であった. 【結果】(1)活動内容 家族会は 痴呆性老人に対するデイサービス, 介護者の集い及び介護相談, 徘徊老人SOSネットワークの構築及び運用, 痴呆に関する講習会の開催, ボランティア養成等を行っていた. 痴呆性老人に対するデイサービスは3人から9人の小規模なもので, 週3回から7回, 家族やボランティアが運用していた. 借家等を借りたり自宅を開放して行っている例もあった. デイサービスは小規模で家庭的なケアを目指したものが多かった. 介護者の集いは年4回から月2回あり, 講師を招いての研修会やリフレッシュ旅行なども行われていた. 介護相談は電話等で受け付けており, 一つの家族会は在宅介護支援センターを委託されていた. 徘徊老人SOSネットワークは, 地域の機関や団体が協力し, 徘徊により行方不明になった痴呆性老人を早期に発見し保護するシステムである. 6つの家族会が警察等にシステムの構築を要望しており, 4つの家族会で実現していた. そのうち3つの家族会が運用に参加していた. その他, 痴呆に関する講習会や書籍の出版, 調査活動等を行っていた. またデイサービスにボランティアを受け入れており, 一つの家族会はボランティア養成講座を行っていた. 以上 ~ の活動に理学療法士は参加していなかった. 医療職では医師や看護婦等が参加しており, 家族会からの要望に応じて老人の健康管理, 介護者への指導・助言, 調査活動の補助等を行っていた. (2)成果 活動を通じて痴呆性老人に対する福祉サービスが補完され, 介護者教育及びカウンセリング, 社会に対する情報提供及び提言が行われていた. 特にデイサービスでは調理や企業の下請け作業等, グループホームや作業所に近い独自のケアが行われていた. また活動を通じて家族自身が変化していた. 家族は痴呆や介護を社会問題として捉えるようになり, 当事者として活動を担っていた. (3)問題点 多くの家族会が資金・人員面での問題を抱えており, 安定した継続的な活動が難しい状況にあった. 特に医療職の雇用は難しく, 保健所等からの派遣やボランティアに頼っていた. 【考察】家族会は, 痴呆性老人が地域で暮らし続けるために重要な役割を担っていると考える. このような活動に何らかの援助が必要であることは言うまでもない. 家族会の主体性を尊重しながら後方支援を行っている医師や看護婦等に, 今後理学療法士が学ぶべきものは少なくないと考える. |
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ISSN: | 0289-3770 |