異種機器による等尺性筋力測定設定での測定値の相関関係の検討
【はじめに】運動療法施行上, 筋力を正確に評価することは重要である. 臨床では筋力測定は徒手筋力測定法が多く利用されている. しかしこの方法は検者の主観により結果の信頼性が乏しい. 現在等速性運動機器による筋力測定も広まり, 評価方法や客観性等の評価を得ている. しかし等速性運動機器は高価で操作も繁雑であることから広く用いられているとは言い難い. そこでHand Held Dynamometer(HHD)のように比較的安価で操作も容易である機器が広まりつつあるがまだ確立した評価を得ていない. そこで等速性運動機器とHHDを相互に押し付け合い2機種間の測定値の関係を明らかにし臨床応用への可能性を...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 1999, Vol.26 (suppl-1), p.38-38 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】運動療法施行上, 筋力を正確に評価することは重要である. 臨床では筋力測定は徒手筋力測定法が多く利用されている. しかしこの方法は検者の主観により結果の信頼性が乏しい. 現在等速性運動機器による筋力測定も広まり, 評価方法や客観性等の評価を得ている. しかし等速性運動機器は高価で操作も繁雑であることから広く用いられているとは言い難い. そこでHand Held Dynamometer(HHD)のように比較的安価で操作も容易である機器が広まりつつあるがまだ確立した評価を得ていない. そこで等速性運動機器とHHDを相互に押し付け合い2機種間の測定値の関係を明らかにし臨床応用への可能性を検討する. 【方法】測定には等速性運動機器にBIODEX SYSTEM 3(BS)(BIODEX MEDICAL SYSTEMS社), HHDにCOMMANDER Power TrackII(PTII)(JTECH社)を用いた. PTIIの測定単位はニュートン(N)で表示され, 定格測定範囲は600Nである. BSの測定単位はNmで, 定格測定範囲は650Nmである. BSは膝関節用アタッチメントを使用しアームを垂直に垂らし, 測定設定は等尺性運動設定とした. PTIIはBSのアームの回転軸中心より0.24mの部位にPTIIの検出部の中心をゆっくりと直角に押し付け検者が任意の力で177回測定しデータとして用いた. 測定値はPTIIが0.1N単位で表示され, BSはピークトルク(Nm)を採用し得られた値を0.24mで除してNに換算し, その結果の関係を検討した. なおPTIIの測定限界が600Nと規定されており500N以上のデータではばらつきが大きく, また554N以上の値は表示されず信頼性がなかったことより, 今回は500N未満での検討とした. なお, 統計解析にはz検定とt検定を用い, 有意水準は5%未満とした. 【結果】BSとPTIIの両データはPTII=222.9±130.0, BS=213.6±128.5(p<0.05)とPTIIで高値を示し, またy=1.0068x+9.294(y;BS, x;PTII, n=177, r=0.9886, P<0.001)という直線に回帰した. この回帰式と理論的理想式y=xとの間で直線の傾きと切片について差の検定を行った結果, 傾きは95%信頼区間が0.981から1.085と有意な誤差が生じなかった. y切片では95%信頼区間が2.873から12.004とわずかながら誤差を生じた. 【考察】今回の検討ではPTIIとBSに強い関連が認められたが, 個々の両データ間にはBSが高い値を示した. このため得られた回帰直線は, 傾きに誤差が生じなかったが切片にわずかな誤差を生じた. これは筋力低下の著しい症例の筋力測定で誤差が生じる可能性を示唆した. しかし, 臨床での筋力測定において同一患者での経過を追うような相対的評価には十分応用可能と考えられた. |
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ISSN: | 0289-3770 |