筋ジストロフィー症の対応とその研究から
ミオパチーは何百種類と云われている. その中で代表的疾患に重症筋無力症, 筋ジストロフィー症が挙げられる. 重症筋無力症は神経筋接合部の障害により引き起こされ, 筋ジストロフィー症はさまざまな遺伝様式により発症し, その中でも数の多いDuchenne型(DMD)は, 1868年にDuchenneにより記載されて以来, 原因の究明と治療法の研究に努力が積み重ねられてきた. DMDはX染色体劣性遺伝形式をとり進行性で2~6才に骨盤帯, 肩甲帯筋より筋萎縮が現れ, 次第に全身に広がって8~10才程には歩行困難に陥り, 運動機能や能力障害の低下が不可逆的に経過し, 心, 呼吸不全により16~20才頃に...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 1996, Vol.23 (suppl-1), p.59-59 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | ミオパチーは何百種類と云われている. その中で代表的疾患に重症筋無力症, 筋ジストロフィー症が挙げられる. 重症筋無力症は神経筋接合部の障害により引き起こされ, 筋ジストロフィー症はさまざまな遺伝様式により発症し, その中でも数の多いDuchenne型(DMD)は, 1868年にDuchenneにより記載されて以来, 原因の究明と治療法の研究に努力が積み重ねられてきた. DMDはX染色体劣性遺伝形式をとり進行性で2~6才に骨盤帯, 肩甲帯筋より筋萎縮が現れ, 次第に全身に広がって8~10才程には歩行困難に陥り, 運動機能や能力障害の低下が不可逆的に経過し, 心, 呼吸不全により16~20才頃には生涯を終わる難病である. 昭和39年度より国策として, 全国の国立療養所を拠点に「筋ジストロフィー症患者の療育・治療と研究」を目的とした施設が開設した. 開設当初には本症に対する対応が暗中模索の状態から始まった. 各施設での対応検索が積み重ねられ療育看護, 治療, PT・OTの成果と研究により, 年々と生命の延長が得られてきた. 著者も昭和40年頃より, 筋ジストロフィー症患者に対応してきた. また, 第4回本学会において『進行性筋ジストロフィー症とリハビリテーション』と題して野島元雄先生により特別講演が行われ, PTに筋ジストロフィー症とリハビリテーション医学への関心が高まった. 本学会も年々と研究成果が積み重なり, 本学会までに「一般演題」総数5804題の中で「筋ジストロフィー症に関する研究」演題数は67題(1.15%)発表されている. 1989年Harvard大学のKunkelらのグループによる分子遺伝学的研究によりDMD遺伝子の解明, また, 全筋肉に微量の蛋白質「ジストロフィン:命名」の研究により正常骨格筋・心筋には「ジストロフィン」が存在するも, DMD患者には「ジストロフィン」が欠損していることを発見し, DMD患者の「膜異常説」を蛋白質レベルで実証し, その後の分子遺伝学的研究の目覚ましい進歩により, 他病型も解明されつつあり, 治療にも光明が見出されつつある. 著者は長年にわたり, 筋ジストロフィー症患者の年齢経過と機能・形態的障害, 能力障害等の推移に着目して対応・研究を行ってきた. 本学会で諸家らの研究報告を交えて述べたい. また, 筋ジストロフィー症患者や家族等へのPT対応に参考にして頂ければ幸いかと存じます. |
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ISSN: | 0289-3770 |