慢性疼痛発現における脊髄内thrombinならびに血小板由来増殖因子(PDGF)の役割

「要旨」血液凝固因子であるthrombinや血小板由来増殖因子(platelet-derived growth factor:PDGF)ならびにそれらの受容体が血液や血小板のみならず,脊髄や上位中枢にも存在していることが報告されている.そこで著者らは,慢性疼痛発現における脊髄内thrombinならびにPDGFの役割について検討した.その結果,坐骨神経結紮による神経障害性疼痛の発現には,脊髄におけるthrombinならびにその受容体であるPAR1を介したPDGFの遊離,さらにはそれに伴ったα型PDGF受容体の活性化が重要な役割を果たしている可能性を見出した.一方,炎症性疼痛の発現にも,脊髄におけ...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 2007, Vol.14 (2), p.107-112
Hauptverfasser: 成田年, 臼井あい子, 成田道子, 野崎博之, 矢島義識, 鈴木勉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」血液凝固因子であるthrombinや血小板由来増殖因子(platelet-derived growth factor:PDGF)ならびにそれらの受容体が血液や血小板のみならず,脊髄や上位中枢にも存在していることが報告されている.そこで著者らは,慢性疼痛発現における脊髄内thrombinならびにPDGFの役割について検討した.その結果,坐骨神経結紮による神経障害性疼痛の発現には,脊髄におけるthrombinならびにその受容体であるPAR1を介したPDGFの遊離,さらにはそれに伴ったα型PDGF受容体の活性化が重要な役割を果たしている可能性を見出した.一方,炎症性疼痛の発現にも,脊髄におけるPDGFならびにα型PDGF受容体経路が関与していることを明らかにした.これらのことから,脊髄におけるthrombinやPDGFは,慢性疼痛の発現に関与する因子の一つとして重要な役割を司ることが明らかになった.さらには,脊髄におけるthrombinは神経障害性疼痛ならびに炎症性疼痛の発現に対してそれぞれ異なる関与をしている可能性が示唆された.
ISSN:1340-4903
DOI:10.11321/jjspc1994.14.107