Neurometer(R)を用いたペンレス(R)における末梢神経機能の変化

Neurometer(R)は3つの異なった末梢神経(Aβ, Aδ, C線維)機能を選択的に定量することが可能な測定機器である. すなわち, 各線維をそれぞれ異なった周波数(2000,250,5Hz)で選択的に刺激することが可能であり, その刺激閾値を得ることができる. このため, 今後ペインクリニック領域においてその有用性が期待されている. 一方, ペンレス(R)は臨床において血管穿刺時の疼痛緩和の他, しばしば慢性疼痛の治療にも用いられるリドカインテープである. このペンレス(R)は, 一体どの神経線維にどのくらいの時間作用しているのだろうか. また, 貼付時間としてはどのくらいの時間が必要...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1997, Vol.4 (3), p.113-113
Hauptverfasser: 薦田恭男, 松本富吉, 佐井義和, 野坂修一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:Neurometer(R)は3つの異なった末梢神経(Aβ, Aδ, C線維)機能を選択的に定量することが可能な測定機器である. すなわち, 各線維をそれぞれ異なった周波数(2000,250,5Hz)で選択的に刺激することが可能であり, その刺激閾値を得ることができる. このため, 今後ペインクリニック領域においてその有用性が期待されている. 一方, ペンレス(R)は臨床において血管穿刺時の疼痛緩和の他, しばしば慢性疼痛の治療にも用いられるリドカインテープである. このペンレス(R)は, 一体どの神経線維にどのくらいの時間作用しているのだろうか. また, 貼付時間としてはどのくらいの時間が必要なのだろうか. 今回, 我々はNeurometer(R)を用いて, ペンレス(R)におけるAβ, Aδ, C線維各N-CPT(Nociceptive-Current Perception Threshold)値を選択的に経時的に定量した. 【方法】対象は健康成人12名. Neurometer(R)の測定モードとしてはNociceptiveモードとした. ペンレス(R)は右手手背を貼付部位とした. まず, 貼付前にコントロールとして, Aβ, Aδ, C線維各N-CPT値を選択的に定量した. 次に対象を2群に分け, それぞれ30分, 60分貼付した. その後ペンレスを除去し, 除去直後, 10分後, 20分後, 30分後, 40分後, 50分後, 1時間後に各線維N-CPT値を選択的に定量し, その変化を観察した. 貼付中に発赤, 掻痒感などの副作用が出現したものは検討から除外した. 【結果】副作用が出現したものを除外した結果, 30分群4名, 60分群6名の測定を施行した. 両群とも, 5, 250Hz刺激ではペンレス(R)除去直後より, コントロール値に対してN-CPT値が上昇し, 1時間後まで持続する傾向が見られた. しかし, 2000Hz刺激では30分群はコントロール値とほとんど変化せず, 60分群では若干上昇する傾向が見られた. 【考察】ペンレス(R)は静脈留置針穿刺時の疼痛緩和をその効能・効果とし, 用法としては穿刺予定部位に約30分間貼付し, 除去後直ちに注射針を穿刺するとされている. 今回の我々の結果では30分貼付により5, 250Hz刺激でのN-CPT値は上昇したが, 2000Hz刺激では上昇しなかった. 各刺激はそれぞれC, Aδ, Aβ線維を選択的に刺激するといわれている. 即ち30分貼付ではAβ線維のブロックは不充分であることが推測され, ペンレス(R)の貼付時間としては少なくとも60分間必要である可能性が考えられる. また, ペンレス(R)除去後その作用は60分間持続することも推測された. 【結論】Neurometer(R)を用いてペンレス(R)貼付における末梢神経機能の変化を経時的に測定した.
ISSN:1340-4903