下肢の浮腫に対する腰部交感神経節ブロック

下肢の浮腫に対して腰部交感神経節ブロックを行い, 浮腫の消失を見た2症例を経験したので報告する. 症例1:85歳, 女性. 主訴:食欲不振, 右下肢浮腫. 現病歴:1993年11月から食欲不振, 摂食不能のため入院. 入院後浮腫は左下肢に移動. 下肢挙上や利尿薬で経過を観察していたが, 反応しないためペインクリニックに紹介された. 経過:左下肢の浮腫は鼠径部以下, 足趾先端に及ぶ. 下肢の挙上にわずかに反応して減少するが, 消失することはなかった. 下肢の血流改善を目的に腰交ブロックを施行(左側L2, L3にて無水アルコールを3mlずつ投与). 術後大腿の浮腫は改善したものの, 下腿以下の浮腫...

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Veröffentlicht in:日本ペインクリニック学会誌 1995, Vol.2 (2), p.178-178
Hauptverfasser: 北 敏博, 玉川 進, 五十嵐みゆき, 碓井 正, 斎藤智誉, 小川秀道
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:下肢の浮腫に対して腰部交感神経節ブロックを行い, 浮腫の消失を見た2症例を経験したので報告する. 症例1:85歳, 女性. 主訴:食欲不振, 右下肢浮腫. 現病歴:1993年11月から食欲不振, 摂食不能のため入院. 入院後浮腫は左下肢に移動. 下肢挙上や利尿薬で経過を観察していたが, 反応しないためペインクリニックに紹介された. 経過:左下肢の浮腫は鼠径部以下, 足趾先端に及ぶ. 下肢の挙上にわずかに反応して減少するが, 消失することはなかった. 下肢の血流改善を目的に腰交ブロックを施行(左側L2, L3にて無水アルコールを3mlずつ投与). 術後大腿の浮腫は改善したものの, 下腿以下の浮腫が依然として残っていたため1週後左側L2, L3にて同様に腰交ブロックを施行. 翌日より浮腫は軽減し1週後には消失した. 約1年の観察でも再発を認めていない. 浮腫の原因として骨盤内の検索を行ったが原因となる疾患は発見されなかった. 症例2:76歳男性. 主訴:腰痛, 両下肢痛. 現病歴:1990年L1, 93年L3, 94年L4の腰椎圧迫骨折. 疼痛コントロールのため当科を受診した. 既往歴:1991年脳出血による片麻痺, 1992年上行結腸癌. 経過:入院時, 単独歩行不能. 下肢痛は左に強く, 下腿から末梢の浮腫が著明であった. 浮腫は上肢挙上によってもほとんど軽滅しなかった, 仙骨硬膜外ブロック, 硬膜外ブロックを行ったが持続的な疼痛緩和は得られなかった. 下肢の冷感があるため局所麻酔薬による腰交ブロックを施行. 効果を認めたので無水アルコールによる腰交ブロックを試みたが, 椎体の変形がひどく良好な造影所見が得られなかったため, 0.5%ブビバカイン3mlずつを3椎体に投与し終了した. 浮腫は3日間で消失し, 疼痛の軽減が認められた. これらの浮腫発生の原因は不明である. 症例1では皮膚, 筋の血流増加のため, 症例2では骨折による疼痛が持続的に交感神経を緊張させたと考え, 腰部交感神経節ブロックの適応とした.
ISSN:1340-4903