循環器内科入院症例における便潜血陽性の頻度と消化管病変についての検討
循環器疾患と悪性疾患は,本邦における死因の上位を占めているが,併存していることも稀ではない.今回われわれは,大阪医科大学循環器内科に入院した患者を対象として,便潜血検査の施行率,陽性率,陽性者のうち下部消化管精査が行われた頻度と,内視鏡所見について診療録を用いた後ろ向き研究を行った.2015年1月から2017年7月に入院となった,延べ4228症例のうち,便潜血検査は960例(23%)に行われており,そのうち291例(30%)で陽性であった.うち,便潜血検査を施行された主な理由は,入院時のスクリーニング174例,貧血の精査84例,黒色便や血便の精査25例であった.陽性者の64例(22%)に下部消...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2018/10/15, Vol.50(10), pp.1095-1101 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 循環器疾患と悪性疾患は,本邦における死因の上位を占めているが,併存していることも稀ではない.今回われわれは,大阪医科大学循環器内科に入院した患者を対象として,便潜血検査の施行率,陽性率,陽性者のうち下部消化管精査が行われた頻度と,内視鏡所見について診療録を用いた後ろ向き研究を行った.2015年1月から2017年7月に入院となった,延べ4228症例のうち,便潜血検査は960例(23%)に行われており,そのうち291例(30%)で陽性であった.うち,便潜血検査を施行された主な理由は,入院時のスクリーニング174例,貧血の精査84例,黒色便や血便の精査25例であった.陽性者の64例(22%)に下部消化管内視鏡検査が行われ,7例に大腸癌,45例に腺腫(うち10 mm以上のadvanced adenoma 22例),7例に憩室が診断された.便潜血陽性にもかかわらず下部消化管内視鏡検査が未施行であったケースの理由としては,全身状態不良が48例,内視鏡検査の既往が7例,詳細不明が129例であった.大腸癌の症例では,進行癌の3例には手術療法が,早期癌の4例には内視鏡的粘膜切除術が施行された.循環器患者においては,投薬状況や全身状態など,さまざまな理由により,内視鏡検査の施行が困難な患者も存在するが,全身的なリスク評価や治療方針決定のためにも,便潜血検査の施行率を上げることが望ましいと考える. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.50.1095 |