診断に難渋したpulmonary tumor thrombotic microangiopathy(PTTM)の1例

症例は胃癌に対する手術の既往がある59歳男性.労作時呼吸困難が入院1週間前から出現し,体動困難になったため救急要請となり,当院に搬送された.肺血栓塞栓症,虚血性心疾患を疑い精査したが,否定的であり,右心カテーテルで肺動脈楔入圧の上昇を伴わない肺動脈圧の上昇を認め,病歴からpulmonary tumor thrombotic microangiopathy(PTTM)などの肺腫瘍塞栓が考えられた.肺血流シンチグラフィでは,両側肺末梢優位にびまん性に多発する集積欠損像があり,PTTMを疑う所見を認めたが,肺動脈から検体を採取した細胞診では診断に至らなかった.肺高血圧症に対して加療するも改善せず,呼...

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Veröffentlicht in:心臓 2018/02/15, Vol.50(2), pp.174-179
Hauptverfasser: 平野, 悠太, 中田, 耕太郎, 吉田, 純, 姜, 錬偲, 鈴木, 健一朗, 宮永, 哲, 石川, 哲也, 小武海, 公明, 佐藤, 峻, 金綱, 友木子, 吉村, 道博
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は胃癌に対する手術の既往がある59歳男性.労作時呼吸困難が入院1週間前から出現し,体動困難になったため救急要請となり,当院に搬送された.肺血栓塞栓症,虚血性心疾患を疑い精査したが,否定的であり,右心カテーテルで肺動脈楔入圧の上昇を伴わない肺動脈圧の上昇を認め,病歴からpulmonary tumor thrombotic microangiopathy(PTTM)などの肺腫瘍塞栓が考えられた.肺血流シンチグラフィでは,両側肺末梢優位にびまん性に多発する集積欠損像があり,PTTMを疑う所見を認めたが,肺動脈から検体を採取した細胞診では診断に至らなかった.肺高血圧症に対して加療するも改善せず,呼吸不全の増悪のため第8病日に死亡した.剖検からPTTMに合致する①小動脈線維性内膜肥厚,②血栓の器質化および再疎通像を認め,右心不全,肺うっ血水腫による呼吸不全を惹起し,直接死因になったと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.50.174