延長・拡張した上行大動脈が原因となった卵円孔開存の関連するPlatypnea Orthodeoxia Syndromeの1例
患者は78歳男性. 脳室炎・細菌性髄膜炎のため当院脳神経外科に入院となった. 抗生剤投与によって経過良好だったが, チアノーゼを認め当科紹介となった. 呼吸困難などの症状はなく, また肺炎や心不全なども否定的であった. しかし, 酸素投与下で臥位ではSPO2 96%でも, 座位になるとSPO2 60%まで低下した. 精査の結果, 右—左シャントを伴う卵円孔開存を認め, 座位になるとシャント量が増加してSPO2が低下した. このため, 卵円孔開存の関連したplatypnea orthodeoxia syndrome (以下POS) と診断した. 典型的な卵円孔開存は, バルサルバ負荷などによって...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2014, Vol.46(5), pp.613-619 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 患者は78歳男性. 脳室炎・細菌性髄膜炎のため当院脳神経外科に入院となった. 抗生剤投与によって経過良好だったが, チアノーゼを認め当科紹介となった. 呼吸困難などの症状はなく, また肺炎や心不全なども否定的であった. しかし, 酸素投与下で臥位ではSPO2 96%でも, 座位になるとSPO2 60%まで低下した. 精査の結果, 右—左シャントを伴う卵円孔開存を認め, 座位になるとシャント量が増加してSPO2が低下した. このため, 卵円孔開存の関連したplatypnea orthodeoxia syndrome (以下POS) と診断した. 典型的な卵円孔開存は, バルサルバ負荷などによって右房圧が左房圧を凌駕することで開口する. 本症例は延長・拡張した上行大動脈による心臓圧排によって, 心房中隔が変形し卵円孔が開口した. そして, 座位になると上行大動脈による心臓圧排が強くなり卵円孔が開大, シャント量が増加した. また, 正常右房圧でも右—左シャントを生じさせるユースタキウス弁が存在した. POSは極めて稀な症候群である. このため, 心内シャントによるPOSの機序はいまだ解明されていない. 本症例は, 卵円孔開存によるPOSの機序を解明する一助になると考え報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.46.613 |