感染性心内膜炎によるうっ血性心不全に合併した急性呼吸促迫症候群に, 好中球エラスターゼ阻害薬の長期投与が著効した1例
症例は73歳, 男性. 主訴は不明熱と呼吸困難. 既往歴として15年前に胃癌に対して幽門側胃切除術を施行されている. 現病歴は, 2007年5月中旬に腸閉塞で入院, 解除術を施行された後も連日発熱を認めていた. 7月下旬より呼吸困難と血痰を認め, うっ血性心不全が疑われ当科紹介となった. 経胸壁心エコー図検査で, 大動脈弁の三尖に疣贅, および無冠尖の逸脱を, 僧帽弁には肥厚像や可動性の低下を認め, いずれも著明な逆流を伴っており, 感染性心内膜炎によるうっ血性心不全と診断した. 血液培養から腸球菌を認め, 早期の手術施行を検討していたが, 転科3日目に呼吸状態が急激に増悪した. 画像所見など...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2009, Vol.41(2), pp.152-158 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は73歳, 男性. 主訴は不明熱と呼吸困難. 既往歴として15年前に胃癌に対して幽門側胃切除術を施行されている. 現病歴は, 2007年5月中旬に腸閉塞で入院, 解除術を施行された後も連日発熱を認めていた. 7月下旬より呼吸困難と血痰を認め, うっ血性心不全が疑われ当科紹介となった. 経胸壁心エコー図検査で, 大動脈弁の三尖に疣贅, および無冠尖の逸脱を, 僧帽弁には肥厚像や可動性の低下を認め, いずれも著明な逆流を伴っており, 感染性心内膜炎によるうっ血性心不全と診断した. 血液培養から腸球菌を認め, 早期の手術施行を検討していたが, 転科3日目に呼吸状態が急激に増悪した. 画像所見などから急性呼吸促迫症候群の合併を考え, ただちに好中球エラスターゼ阻害薬投与を開始した. 同薬剤の4週間投与と低容量換気人工呼吸器療法にて呼吸状態は徐々に改善したため, 9月中旬に大動脈弁, 僧帽弁の人工弁置換術および三尖弁縫縮術を施行, 術後の経過は良好であった. 今回われわれは感染性心内膜炎によるうっ血性心不全に合併した急性呼吸促迫症候群に対して, 低容量換気人工呼吸器療法と早期からの好中球エラスターゼ阻害薬の長期投与が著効した1例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.41.152 |