先天性右肺動脈欠損症に伴う肺高血圧症の1例-ボセンタン治療が著効した成人女性例

先天性右肺動脈欠損に高度の肺高血圧を合併した女性に対してボセンタンを投与し, 良好な効果を得たので報告する. 症例は49歳, 女性. 4歳ころより喀血を認めることがあった. 21歳時, 心臓カテーテル検査で右肺動脈欠損, 動脈管開存, 肺高血圧と診断され, 動脈管結紮術が施行された. 以後喀血は消失, 3児を出産した. 39歳時に施行した心臓カテーテル検査では, 肺動脈圧45/22(平均圧32)mmHgであった. 49歳になり労作時呼吸困難が出現, しだいに安静時にも胸部苦悶感を訴えるようになったため, 精査目的で入院となった. カテーテル検査(酸素2レ分吸入下)では平均肺動脈圧は120mmH...

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Veröffentlicht in:心臓 2006-12, Vol.38 (12), p.1187-1191
Hauptverfasser: 木口久子, 鎌田政博, 中川直美
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:先天性右肺動脈欠損に高度の肺高血圧を合併した女性に対してボセンタンを投与し, 良好な効果を得たので報告する. 症例は49歳, 女性. 4歳ころより喀血を認めることがあった. 21歳時, 心臓カテーテル検査で右肺動脈欠損, 動脈管開存, 肺高血圧と診断され, 動脈管結紮術が施行された. 以後喀血は消失, 3児を出産した. 39歳時に施行した心臓カテーテル検査では, 肺動脈圧45/22(平均圧32)mmHgであった. 49歳になり労作時呼吸困難が出現, しだいに安静時にも胸部苦悶感を訴えるようになったため, 精査目的で入院となった. カテーテル検査(酸素2レ分吸入下)では平均肺動脈圧は120mmHg, 肺血管抵抗56.3wood単位と高度の肺高血圧を認め, 在宅酸素療法, ボセンタン内服を開始した. その後, 自覚症状の改善は著しく, 6分間歩行距離が268mから4週間後では415mへ, BNPは327pg/mLから30pg/mL, 心エコー検査での推定右室圧も135mmHgから80mmHgへと改善した. ボセンタン投与開始後5ヵ月で施行した心臓カテーテル検査(O2 2L/分吸入下)では平均肺動脈圧は56mmHg, Rp22.5wood単位と改善, 末梢肺動脈で行った造影でも血管の蛇行, 拡張像の改善は明らかであった. 現在, 内服開始から10ヵ月が経過したが6分間歩行距離は390m, BNP10pg/mLと良好な状態が維持されている.
ISSN:0586-4488