同一造影剤6回目の使用で重篤な副作用を生じ心肺停止をきたした1例

症例は74歳男性. 既往歴にアルコール性肝硬変症, 糖尿病がある. 近医にて心電図異常を指摘され, 精査目的にて当院紹介となった. 断層心エコー図で壁運動異常を認めたため, 虚血性心疾患を疑い心臓カテーテル検査を施行した. 左室造影検査でiomeprolを注入後, 全身掻痒感が出現した. ステロイドを静注するも心肺停止となった. 心マッサージ, 人工呼吸管理, 昇圧剤投与などの心肺蘇生を続けたところ, 約40分後に自己心拍は回復した. 発症10時間は昏睡状態であったが, 経時的に意識レベルの改善を認め, 後遺症なく第10病日に退院となった. Iomeprolに対するリンパ球刺激試験は陽性で,...

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Veröffentlicht in:心臓 1999-12, Vol.31 (12), p.839-843
Hauptverfasser: 川崎達也, 加藤周司, 岡野晃, 永田一洋, 岡本昭夫, 米山聡嗣, 伊藤一貴
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は74歳男性. 既往歴にアルコール性肝硬変症, 糖尿病がある. 近医にて心電図異常を指摘され, 精査目的にて当院紹介となった. 断層心エコー図で壁運動異常を認めたため, 虚血性心疾患を疑い心臓カテーテル検査を施行した. 左室造影検査でiomeprolを注入後, 全身掻痒感が出現した. ステロイドを静注するも心肺停止となった. 心マッサージ, 人工呼吸管理, 昇圧剤投与などの心肺蘇生を続けたところ, 約40分後に自己心拍は回復した. 発症10時間は昏睡状態であったが, 経時的に意識レベルの改善を認め, 後遺症なく第10病日に退院となった. Iomeprolに対するリンパ球刺激試験は陽性で, 同薬の副作用によるものと診断した. 腹部血管造影を含む過去5回のiomeprolの使用時には特に問題を認めなかった. 造影剤使用時は, 重篤な合併症があることを常に念頭に置き, 緊急時の対応がとれる体制を整備しておく必要があると考えられた.
ISSN:0586-4488