術後早期に血栓形成を認めた先天性冠動脈瘻の経過観察例

先天性冠動脈瘻は手術成績も良いとされるが, 拡大した冠動脈内の血栓閉塞例が散見されている. 我々は術後早期に血栓形成を認めた右冠動脈右室瘻の1例を経験した. 症例は6歳男児で, 生来健康であったが, 就学前健康診断にて心雑音を指摘され紹介となった. 選択的冠動脈造影で径11mmに管状に拡大した右冠動脈が右室へ流入しているのが確認され, 肺体血流比1.6, 左右短絡率39%であった. 経冠動脈的瘻孔閉鎖術(Symbas術)を施行し翌日よりアスピリンを開始したが, 術後1日目の心電図にてI, II, III, aV_F およびV_2 からV_6 誘導においてT波の増高を認めた. 術後8日目のIII...

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Veröffentlicht in:心臓 1999-08, Vol.31 (8), p.613-618
Hauptverfasser: 武田充人, 佐々木康, 衣川佳数, 松浦弘司, 清野隆吉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:先天性冠動脈瘻は手術成績も良いとされるが, 拡大した冠動脈内の血栓閉塞例が散見されている. 我々は術後早期に血栓形成を認めた右冠動脈右室瘻の1例を経験した. 症例は6歳男児で, 生来健康であったが, 就学前健康診断にて心雑音を指摘され紹介となった. 選択的冠動脈造影で径11mmに管状に拡大した右冠動脈が右室へ流入しているのが確認され, 肺体血流比1.6, 左右短絡率39%であった. 経冠動脈的瘻孔閉鎖術(Symbas術)を施行し翌日よりアスピリンを開始したが, 術後1日目の心電図にてI, II, III, aV_F およびV_2 からV_6 誘導においてT波の増高を認めた. 術後8日目のIII, aV_F 誘導では異常q波を認め, T波は陰転化した. 1ヵ月後の選択的冠動脈造影にて冠動脈縫合部に接した血栓形成を認め, その末梢側の血栓性閉塞, 再疎通を認めた. しかし, 2年後には拡張していた右冠動脈は退縮, 末梢側の血流は改善していた. 本症の術後管理においては術直後より強力な抗凝固療法が必要と思われた.
ISSN:0586-4488