拡張型心筋症類似の経過を呈した末端肥大症の1剖検例

末端肥大症に伴う心血管合併症については多くの報告がなされており, その中でも未知の成因により治療抵抗性の心不全をきたすacromegalic cardiomyopathyなる疾患概念が言われている1). 本症例は臨床的に拡張型心筋症に類似し, 剖検によりacromegalic cardiomyopathyと考えられた貴重な1例と思われ, ここに報告する. 症例は63歳男性で, 1980年より不整脈・軽症高血圧・心筋障害で治療中であったが, 1991年12月心室性期外収縮の多発と肺うっ血のため入院となった. 心電図は右脚ブロックと左軸偏位で, 発作性心房細動・心室性不整脈の頻発があり, 心臓超音...

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Veröffentlicht in:心臓 1997-04, Vol.29 (4), p.329-334
Hauptverfasser: 尾崎正憲, 栗本泰行, 山城荒平, 北川泰生, 名村宏之, 渡辺直也, 加納康至, 山田重信, 武田善樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:末端肥大症に伴う心血管合併症については多くの報告がなされており, その中でも未知の成因により治療抵抗性の心不全をきたすacromegalic cardiomyopathyなる疾患概念が言われている1). 本症例は臨床的に拡張型心筋症に類似し, 剖検によりacromegalic cardiomyopathyと考えられた貴重な1例と思われ, ここに報告する. 症例は63歳男性で, 1980年より不整脈・軽症高血圧・心筋障害で治療中であったが, 1991年12月心室性期外収縮の多発と肺うっ血のため入院となった. 心電図は右脚ブロックと左軸偏位で, 発作性心房細動・心室性不整脈の頻発があり, 心臓超音波検査および左室造影上著明な左室の拡大, 左室壁の肥厚, び漫性の壁運動低下を認めた. 治療により心不全は軽快したが, 成長ホルモンの異常高値ならびに内分泌学的検査, 頭部MRI等により下垂体腺腫による末端肥大症と診断された. ブロモクリプチンの投与により成長ホルモンは正常範囲に維持されたが, 1995年2月頃より心不全の悪化傾向を認め, 不整脈, 心不全の治療に反応せず心室性不整脈を頻発し同年5月に死亡した. 臨床経過では拡張型心筋症に類似した経過を呈したが, 剖検で組織学的に心筋細胞の肥大とび漫性の間質の線維化を認め, いわゆるacromegalic cardiomyopathyと考えられた.
ISSN:0586-4488