骨格筋機能における遺伝子発現制御に関する研究

「要旨」: 骨格筋はヒトの体重の約40%を占める人体で最大の組織であり, タンパク質の形でエネルギー貯蔵を行っている. 骨格筋は環境の変化に順応する可塑性があり, 適切な運動トレーニングと十分な栄養によって肥大し, 寝たきりや加齢などによって萎縮する. 筋萎縮が生じると, エネルギー消費減少(肥満)や, 糖取り込み能の低下・血糖値上昇(糖尿病), そして生活の質の低下へと向かう. FOXO1は筋萎縮を誘導する主要な転写調節因子であり, 作用機序の理解が進んでいる. 一方, 運動の作用は, 骨格筋だけにとどまらず, さまざまな臓器に影響する. 運動時におけるPGC1α(核内受容体の転写共役因子・...

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Veröffentlicht in:Nihon Eiyō, Shokuryō Gakkai shi Shokuryō Gakkai shi, 2022-12, Vol.75 (6), p.267-274
1. Verfasser: 亀井康富
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」: 骨格筋はヒトの体重の約40%を占める人体で最大の組織であり, タンパク質の形でエネルギー貯蔵を行っている. 骨格筋は環境の変化に順応する可塑性があり, 適切な運動トレーニングと十分な栄養によって肥大し, 寝たきりや加齢などによって萎縮する. 筋萎縮が生じると, エネルギー消費減少(肥満)や, 糖取り込み能の低下・血糖値上昇(糖尿病), そして生活の質の低下へと向かう. FOXO1は筋萎縮を誘導する主要な転写調節因子であり, 作用機序の理解が進んでいる. 一方, 運動の作用は, 骨格筋だけにとどまらず, さまざまな臓器に影響する. 運動時におけるPGC1α(核内受容体の転写共役因子・転写調節因子)によるミトコンドリアの増加や赤筋化など, 筋機能改善に関する代謝変化の分子機序が明らかになりつつある. 本稿では, 筆者らの研究データも含めて, 骨格筋機能における遺伝子発現制御について整理する.
ISSN:0287-3516