異なる光環境下に生育するサワラ後継樹の樹冠形

サワラ後継樹の樹冠形を閉鎖林冠下と開放林冠下で比較して,樹冠形と更新様式との関連について検討した。開放林冠下に生育するサワラ後継樹の生枝下高は閉鎖林冠下より低く,樹冠も閉鎖林冠下と同程度の大きさで水平方向に広がっており,地面に接地するための充分な長さの下枝を持っていた。このようにサワラ後継樹は伏条枝による萌芽更新に適した形に樹形をデザインしているにも関わらず,開放林冠下では伏条更新に由来する後継樹は後継樹全体の5.5%と少なかった。その原因として,林齢が若く疎な開放林冠下に生育するサワラ後継樹は,倒木や上層木の落葉落枝等のリターによって枝が地表面に押さえつけられて伏条する機会が高齢で鬱閉した閉...

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Veröffentlicht in:信州大学農学部AFC報告 2014-03 (12), p.17-23
Hauptverfasser: 川谷, 尚平, 小林, 元, 清野, 達之, 城田, 徹央
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:サワラ後継樹の樹冠形を閉鎖林冠下と開放林冠下で比較して,樹冠形と更新様式との関連について検討した。開放林冠下に生育するサワラ後継樹の生枝下高は閉鎖林冠下より低く,樹冠も閉鎖林冠下と同程度の大きさで水平方向に広がっており,地面に接地するための充分な長さの下枝を持っていた。このようにサワラ後継樹は伏条枝による萌芽更新に適した形に樹形をデザインしているにも関わらず,開放林冠下では伏条更新に由来する後継樹は後継樹全体の5.5%と少なかった。その原因として,林齢が若く疎な開放林冠下に生育するサワラ後継樹は,倒木や上層木の落葉落枝等のリターによって枝が地表面に押さえつけられて伏条する機会が高齢で鬱閉した閉鎖林冠下と比べて相対的に少ないこと。光環境の明るい開放林冠下に生育するサワラ後継樹は,枝の長さを直径で除した形状比の小さい丈夫な曲がりにくい枝を持つことから,下枝の伏条は潜在的に起こりにくくなっている可能性が示唆された。サワラ後継樹の伏条更新は林分の発達段階や構造と密接に関連していると考えられた。
ISSN:1348-7892