2012年夏季の三河湾における貧酸素水塊に対する底生性魚介類の分布及び1986年調査結果との比較

大規模な貧酸素水塊が発生する夏季の三河湾における底生性魚介類の分布実態を把握するために,2012年夏季に貧酸素水塊の時空間的な分布状況をモニタリングするとともに,小型機船底びき網のえびけた網を用いて底生性魚介類の分布と現存量を調査した。さらに,1986年以前の底びき網調査の結果と比較して,夏季における底生性魚介類の生息分布の変化を考察した。その結果,底生性魚介類の現存量は底層の溶存酸素飽和度に依存しており,渥美湾奥部は底生性魚介類にとって生息困難な環境であった。過去の調査結果と比較すると,シャコについては生息分布域が縮小し,資源が減少していることが懸念された。一方,ガザミ類は,近年資源が増大し...

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Veröffentlicht in:愛知県水産試験場研究報告 2013-03 (18), p.21-32
Hauptverfasser: 曽根, 亮太, 蒲原, 聡, 山田, 智, 二ノ方, 圭介
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:大規模な貧酸素水塊が発生する夏季の三河湾における底生性魚介類の分布実態を把握するために,2012年夏季に貧酸素水塊の時空間的な分布状況をモニタリングするとともに,小型機船底びき網のえびけた網を用いて底生性魚介類の分布と現存量を調査した。さらに,1986年以前の底びき網調査の結果と比較して,夏季における底生性魚介類の生息分布の変化を考察した。その結果,底生性魚介類の現存量は底層の溶存酸素飽和度に依存しており,渥美湾奥部は底生性魚介類にとって生息困難な環境であった。過去の調査結果と比較すると,シャコについては生息分布域が縮小し,資源が減少していることが懸念された。一方,ガザミ類は,近年資源が増大していることが示唆され,その要因の一つとして干潟・浅場造成の効果が考えられた。また,2012年は発達した貧酸素水塊が形成された期間が短かったことによって,サルボウやアカガイなどの二枚貝の現存量が多く,二枚貝の生残には貧酸素水塊の発達規模や継続期間などの履歴が影響を与えることが考えられた。
ISSN:0919-7494