微生物・酵素を活用した糖質の開発とその利用に関する基盤的研究

異性化糖生産に資することを目途に,放線菌Streptomyces griseofuscus S-41のグルコースイソメラーゼの酵素化学的諸性質および固定化法の研究開発を行った。特に,反応動力学的解析およびタンパク質の構造から,Mg2+,Co2+等2価金属イオンによる活性化と安定化機構を明らかにした。また,天然多糖,キトサンを用いた安定な菌体凝集固定化法を考案し,一部実用化に結びつけた。次いで,エリスリトールの大量生産を目指した研究開発に着手した。エリスリトールは自然界に極微量存在が知られていたが,大量に取得する手段がなく,理化学的・生理学的特性に関する知見は皆無であった。約3,000株の分離酵...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:応用糖質科学 : 日本応用糖質科学会誌 = Bulletin of applied glycoscience 2013-02, Vol.3 (1), p.38-49
1. Verfasser: 春見, 隆文
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:異性化糖生産に資することを目途に,放線菌Streptomyces griseofuscus S-41のグルコースイソメラーゼの酵素化学的諸性質および固定化法の研究開発を行った。特に,反応動力学的解析およびタンパク質の構造から,Mg2+,Co2+等2価金属イオンによる活性化と安定化機構を明らかにした。また,天然多糖,キトサンを用いた安定な菌体凝集固定化法を考案し,一部実用化に結びつけた。次いで,エリスリトールの大量生産を目指した研究開発に着手した。エリスリトールは自然界に極微量存在が知られていたが,大量に取得する手段がなく,理化学的・生理学的特性に関する知見は皆無であった。約3,000株の分離酵母の中からエリスリ卜ール生産能を有する株を発見し,最も産生能の高い1株(Trichosporonoides megachiliensis)を選抜した。紫外線照射,変異剤処理等により本菌を実用菌へと改良を行い,エリスリトールの発酵生産を世界に先駆けて確立した。エリスリトールは適合溶質の一種で,現在低カロリー甘味料として,また,洗浄効果や保湿効果を利用した口腔洗浄剤,化粧品,化成品などに幅広い用途がある。
ISSN:2185-6427