生薬ハンゲ,タクシャ,ヨクイニン由来の澱粉の特性

生薬の抽出残渣に含まれている澱粉の有用性を評価するため,澱粉の物理化学的な諸特性を調べた.生薬は収穫時期あるいは栽培地の異なるものを用いた.澱粉(S)は,Pinellia ternata (Thunb.) Breitenbachの塊茎,ハンゲ(PT),Alisma orientale Juzepczukの塊茎,タクシャ(AO),Coix lacryma-jobi Linné var. ma-yuen Stapfの種子,ヨクイニン(CL)から調製した.PT,AO,CLの粉末生薬には,澱粉が41.1-77.5,12.5-40.5,1.5-5.8%含まれていた(Table 1).S-PT,S-AO,...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Journal of Applied Glycoscience 2006, Vol.53(4), pp.241-247
Hauptverfasser: 坊木, 佳人, 山田, 雅英, 北小路, 学
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:生薬の抽出残渣に含まれている澱粉の有用性を評価するため,澱粉の物理化学的な諸特性を調べた.生薬は収穫時期あるいは栽培地の異なるものを用いた.澱粉(S)は,Pinellia ternata (Thunb.) Breitenbachの塊茎,ハンゲ(PT),Alisma orientale Juzepczukの塊茎,タクシャ(AO),Coix lacryma-jobi Linné var. ma-yuen Stapfの種子,ヨクイニン(CL)から調製した.PT,AO,CLの粉末生薬には,澱粉が41.1-77.5,12.5-40.5,1.5-5.8%含まれていた(Table 1).S-PT,S-AO,S-CLの平均粒子径は8.2±0.2-16.0±0.4,6.1±0.2,11.5±0.4-13.5±0.4 μmであった(Fig. 1).S-PT,S-AO,S-CLの結晶型はCA型であった(Fig. 3).S-PT,S-AO,S-CLそれぞれの燐含量は62-330,93-110,75-210 μg/g,カルシウム含量は320-530,48-260,18-33 μg/gであった(Table 2).S-PT-1,S-AO-2,S-CL-2の吸熱曲線は67.3-85.0,58.9-84.2,59.2-81.0°Cの範囲内に観察され,エンタルピーはそれぞれ3.4±0.3,4.2±0.0,4.5±0.2 J/gであった(Table 3).これらの澱粉は低エネルギー糊化デンプンとしての利用が期待できる.生澱粉S-PT,S-AO,S-CLのα-アミラーゼによる72時間後の分解率は35.3±2.4,38.3±2.3,62.2±5.2%であった(Fig. 4).α-アミラーゼにより生澱粉から生成した(分解率 : S-PT-1,2.4% ; S-AO-2,5.8% ; S-CL-2,7.1%)主な糖類は,三単糖(35.8-40.0%)とマルトース(35.8-42.8%)であった(Table 4).グルコアミラーゼにより生澱粉から生成した(分解率 : S-PT-1,4.8% ; S-AO-2,12.1% ; S-CL-2,18.7%)主な糖は,グルコース(97.6-99.5%)であった(Table 5).S-PT-1,S-AO-2,S-CL-2は,1時間分解後,α-アミラーゼによって粒子の表面全体が凸凹に侵食されたが,グルコアミラーゼによっては原型をとどめており粒子表面に小粒が付着していた.S-CL-2の粒子には,グルコアミラーゼによってその原型を失っているものもみられた(Fig. 2).α-アミラーゼにより分解されたS-PT-1(A),S-AO-2(A),S-CL-2(A)は,多孔性のゆえに吸着剤としての利用が期待できる(Fig. 2).糊化温度とエントロピーの結果から,α-アミラーゼによって分解されたS-PT-1,S-AO-2,S-CL-2の方が,グルコアミラーゼによるものよりも,熱安定性の高いことが推察された(Fig. 2,Table 3).
ISSN:1344-7882
1880-7291
DOI:10.5458/jag.53.241