砂漠化域における土壌養分貯留機能の解析に基づく森林復元・土壌生態系再生に関する研究
砂漠化は様々な要因によってひきおこされるが、その結果は土地の劣化に集約される。しかし土地劣化の発生機構は未解明であり、その防止策も未構築である。本研究では、土地劣化を土壌劣化と位置づけ、砂漠化域における土壌劣化実態を検討することにより、その再生原理を構築することを目的とした。土壌劣化の実態例として、過少土壌容量分布域(中国カルスト域)、貧栄養土壌域(アフリカニジェール)における養分減少と貯留過程、土壌移動高頻度域(日本列島恵山)における土壌生態再生過程をケーススタディ対象とした。その結果、中国カルスト域においては、過少土壌の実態が明らかとなり、またそれは土壌生成速度が極めて遅い石灰岩の特質に起...
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Veröffentlicht in: | 北海道大学演習林研究報告 = Research bulletin of the Hokkaido University Forests 2004-08, Vol.61 (1), p.73-102 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 砂漠化は様々な要因によってひきおこされるが、その結果は土地の劣化に集約される。しかし土地劣化の発生機構は未解明であり、その防止策も未構築である。本研究では、土地劣化を土壌劣化と位置づけ、砂漠化域における土壌劣化実態を検討することにより、その再生原理を構築することを目的とした。土壌劣化の実態例として、過少土壌容量分布域(中国カルスト域)、貧栄養土壌域(アフリカニジェール)における養分減少と貯留過程、土壌移動高頻度域(日本列島恵山)における土壌生態再生過程をケーススタディ対象とした。その結果、中国カルスト域においては、過少土壌の実態が明らかとなり、またそれは土壌生成速度が極めて遅い石灰岩の特質に起因していることから、森林伐採によって土壌が流亡した場合、生態系修復は不可能になると考えられた。ニジェールにおいては、過度な土地利用により土壌養分が流出している実態や、一方でシロアリ塚に養分が貯留されている実態が明らかとなった。恵山においては、斜面崩壊により土壌動物相が激減すること、その後の植生回復にともなって土壌動物相も回復することが明らかとなった。それらの知見をもとに総合考察を行った結果、土壌劣化とは土壌養分貯蔵庫の崩壊と認識され、そして土壌劣化域での貯蔵庫の回復と土壌養分再備には、森林再生による長期間の土壌回復が最も現実的な選択肢と考えられた。 |
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ISSN: | 1347-0981 |