自発的レジスタンス運動(クライミング)が鉄欠乏および潜在性鉄欠乏ラットの生体内鉄状態に及ぼす影響

長期の自発的レジスタンス運動(クライミング)が正常(40mg Fe/kg diet)、鉄欠乏(4mg Fe/kg diet)および潜在性鉄欠乏(18-29mg Fe/kg diet)ラットの生体内鉄状態に及ぼす影響を、有酸素運動(遊泳)と比較して検討した。4週齢Wistar系雄ラットを3群に分け、そのうちの2群にクライミング運動および遊泳運動を8週間実施させ、残りを安静群とした。血中ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、血漿鉄濃度、トランスフェリン飽和率は、運動の有無にかかわらず、正常群(40mg Fe/kg diet)に比べて鉄欠乏群(4mg Fe/kg diet)で有意に低値であった(実験1...

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Veröffentlicht in:香川大学農学部学術報告 2002-03, Vol.54, p.55-62
Hauptverfasser: 松尾, 達博, 鈴木, 博雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:長期の自発的レジスタンス運動(クライミング)が正常(40mg Fe/kg diet)、鉄欠乏(4mg Fe/kg diet)および潜在性鉄欠乏(18-29mg Fe/kg diet)ラットの生体内鉄状態に及ぼす影響を、有酸素運動(遊泳)と比較して検討した。4週齢Wistar系雄ラットを3群に分け、そのうちの2群にクライミング運動および遊泳運動を8週間実施させ、残りを安静群とした。血中ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、血漿鉄濃度、トランスフェリン飽和率は、運動の有無にかかわらず、正常群(40mg Fe/kg diet)に比べて鉄欠乏群(4mg Fe/kg diet)で有意に低値であった(実験1)。また鉄欠乏ラットにおいて、血中ヘモグロビン濃度とへマトクリット値は、安静群に比べてクライミング運動群で有意に高かった(実験1)。一方、潜在性鉄欠乏(18-29mg Fe/kg diet)ラットにおいては、いずれの運動もラットの生体内鉄状態に影響を与えなかった(実験2)。以上の結果から、長期のレジスタンス運動は有酸素運動に比べて、鉄欠乏ラットの体内鉄状態を改善することが明らかになった。これはレジスタンス運動によって、鉄欠乏ラットのヘム合成能が増加したことによるものと推察され、レジスタンス運動は鉄欠乏性貧血の治療に有効である可能性が示唆された。
ISSN:0368-5128