サトイモのウィルスフリー株の特性

1985年に生長点培養によって作出後、網室で増殖したウィルスフリーと考えられるサトイモ(培養株)と培養せずに露地栽培を続けているサトイモ(一般株)を種として用い、生育、ウィルス感染、収量などの比較結果から培養株の特性を検討し、次のような結果を得た。1. 培養株は一般株に比べ生育が旺盛になり、総いも収量、総着生いも数が多くなる傾向がみられ、ウィルス感染を防いだ環境(網室内)での栽培で特にその傾向が強かった。2. 芽が地上部に伸長するいも、親いもに圧着して形状が悪いいもが多い。また、小さいいもが多くなる結果良品いも収量は少なくなる傾向がみられた。3. 培養株のいもの表皮の色は、帯白色で新鮮な感じで...

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Veröffentlicht in:千葉県原種農場研究報告 = Bulletin of the Chiba-Ken Foundation Seed and Stock Farm 1990-03 (12), p.17-24
Hauptverfasser: 角田, 孝史, 石井, 勝, 大越, 一雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:1985年に生長点培養によって作出後、網室で増殖したウィルスフリーと考えられるサトイモ(培養株)と培養せずに露地栽培を続けているサトイモ(一般株)を種として用い、生育、ウィルス感染、収量などの比較結果から培養株の特性を検討し、次のような結果を得た。1. 培養株は一般株に比べ生育が旺盛になり、総いも収量、総着生いも数が多くなる傾向がみられ、ウィルス感染を防いだ環境(網室内)での栽培で特にその傾向が強かった。2. 芽が地上部に伸長するいも、親いもに圧着して形状が悪いいもが多い。また、小さいいもが多くなる結果良品いも収量は少なくなる傾向がみられた。3. 培養株のいもの表皮の色は、帯白色で新鮮な感じであった。4. 培養株は、露地栽培に移すと植付初年度で大部分の株にCMV又はDMVによるウィルス病徴が発現したが、網室内でアブラムシを避けて栽培した場合、ウィルス病徴株は発現しなかった。また、CMVについて、C. amaranticolor及びC. quinoaを指標植物に用いた汁液接種法によるウィルス検定(DMVは検出できない。)を行ったところ、マイナスの結果であった。5. 本試験に用いたサトイモ培養株は、一般需要での良品を得にくい生育特性を有しており、当面実用化は期待できにくいと判断されたが、小いもが多いこと、表皮の色が白く新鮮な感じがすることから、これを生かした需要の開拓の可能性もあると考えられた。6. 培養株の網室内栽培による増殖では、親いもを4~6分割したいもを種いもとして加えると、約30倍が可能であった。
ISSN:0387-5229