葉温に対する各種気象要因の影響とその作物種間差

葉温の作物種間差を明らかにする目的で,圃場栽培したトウモロコシ,ダイズ,バレイショ,テンサイの葉温を赤外線放射温度計を用いて各種の気象条件下で測定した.測定時の日射量の範囲は0.2〜1.1 kW・m^,気温は11〜29℃,湿度は28〜94%で有り,葉気温差とこれら気象要素との関係を重回帰分析によって解析し,以下の結果を得た.1)生育旺盛期において葉気温差に最も大きな影響を与えるのは,いずれの作物種とも日射量で,次いで気温,湿度であった.葉気温差と日射量,湿度とは正の,気温とはバレイショでは正の,他作物種では負の相関を示した.2)気象要素の気温差に与える影響の程度は作物種間で異なっていた.すなわ...

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Veröffentlicht in:Nippon dojō hiryōgaku zasshi 1985/02/05, Vol.56(1), pp.21-25
Hauptverfasser: 山口, 淳一, 新田, 啓子, 田中, 明
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:葉温の作物種間差を明らかにする目的で,圃場栽培したトウモロコシ,ダイズ,バレイショ,テンサイの葉温を赤外線放射温度計を用いて各種の気象条件下で測定した.測定時の日射量の範囲は0.2〜1.1 kW・m^,気温は11〜29℃,湿度は28〜94%で有り,葉気温差とこれら気象要素との関係を重回帰分析によって解析し,以下の結果を得た.1)生育旺盛期において葉気温差に最も大きな影響を与えるのは,いずれの作物種とも日射量で,次いで気温,湿度であった.葉気温差と日射量,湿度とは正の,気温とはバレイショでは正の,他作物種では負の相関を示した.2)気象要素の気温差に与える影響の程度は作物種間で異なっていた.すなわち,(a)日射量,湿度が高い条件下で(i)気温が高いときには,種間差はほとんどなく,(ii)気温が低いときには,ダイズ≒トウモロコシ>テンサイ>バレイショの順であり,(b)日射量,湿度がともに低い条件下で(i)気温が高いときには,バレイショ>テンサイ>トウモロコシ≒ダイズ,(ii)気温が低いときには,ダイズ≒トウモロコシ>テンサイ>バレイショであった.なおC_4植物であるトウモロコシは他のC_3植物種と特に異なることはなかった.3)生育期には相対的に若いはを測定対象としても葉気温差は+10℃以上になり,いずれの作物種とも葉温調節機能が低下すると考えられる.4)晴天日には日射量の日変化にほぼ対応して葉温は朝・夕に低く,日中高くなった.5)平行光下でのは温は垂直光下に比べると著しく低かった.6)葉温の窒素施与量による差異は認められなかった.
ISSN:0029-0610
2424-0583
DOI:10.20710/dojo.56.1_21