大腸菌のγ線照射に対する含硫アミノ酸誘導体の効果

S-alkyl-L-cysteine, S-alkyl-2-methyl-DL-cystineおよび,それらのヒダントイン誘導体,さらにそれらのスルホキシドを調製し,関連化合物とともに20mM水溶液または緩衝液中でγ線照射を行ない,共存する大腸菌(E. coli NIHJ)の残存生菌数に対する影響を調べた. (1) 水中では, S-置換基はプロピルよりアリルの方が保護効果が大きく,γ線分解G値の大小と一致していたが,スルホキシドにすると無添加区よりも生存菌数は減少し,サルファイドとの分解G値と保護効果の大小関係は逆であった.また,アミノ酸のα位水素をメチル基に換えると保護効果は低下したが, S...

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Veröffentlicht in:Nippon nōgei kagakukaishi 1973, Vol.47(3), pp.193-200
Hauptverfasser: 田原, 哲士, 西村, 弘行, 水谷, 純也
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:S-alkyl-L-cysteine, S-alkyl-2-methyl-DL-cystineおよび,それらのヒダントイン誘導体,さらにそれらのスルホキシドを調製し,関連化合物とともに20mM水溶液または緩衝液中でγ線照射を行ない,共存する大腸菌(E. coli NIHJ)の残存生菌数に対する影響を調べた. (1) 水中では, S-置換基はプロピルよりアリルの方が保護効果が大きく,γ線分解G値の大小と一致していたが,スルホキシドにすると無添加区よりも生存菌数は減少し,サルファイドとの分解G値と保護効果の大小関係は逆であった.また,アミノ酸のα位水素をメチル基に換えると保護効果は低下したが, S-置換アミノ酸の保護効果は,ヒダントイン誘導体とすることによって増大した. (2) これらの傾向から5-allylthiomethyl-hydantoin (S-allyl-cysteineのヒダントイン誘導体)の保護効果が大きいことが予想され,実際に水中では使用した化合物のうちで最大, L-cysteineよりも大きな保護作用を有していた. (3) リン酸緩衝液(1/15M, pH6.8)中では, L-cysteineの保護効果が最大で,それに匹敵するような効果を有する化合物は見出されなかった.また,水中で見られたような構造と保護効果との関連は,明確ではなかったが, S-allyl-L-cysteineやS-propyl-L-cysteineのヒダントインは,一連の化合物中では比較的大きな保護効果を示した. (4) S-allyl-またはS-propyl-L-cysteineのヒダントインをスルポキシドとすると,緩衝液中でも毒性を示し,融点よりも高温に保って部分分解したものは,さらに毒性が強く, 140°Cで処理したS-propyl-L-cysteineのヒダントインスルホキシドでは20mM, 2時間後,大腸菌の生存量を無添加区の0.3%に低下させた. (5) 4-ethylthio-DL-isovaline, 2-methyl-5-methylthio-DL-norvaline, 2-methyl-5-ethylthio-DL-norvaline, S-n-octyl-2-methyl-DL-cysteine, S-n-lauryl-2-methyl-DL-cysteineが調製されたが,γ線に対する大腸菌の保護作用は見られず,微生物の増殖に対する阻害作用も有していなかった.
ISSN:0002-1407
1883-6844
DOI:10.1271/nogeikagaku1924.47.193