電子線照射によるアミロースの主鎖崩壊と誘起ラジカルについて

電子線前照射法による澱粉に対するグラフト共重合において,反応活性点となるラジカル生成量と基材高分子となる澱粉の崩壊の釣合いを知るため,直鎖成分であるアミロースを用い, ESR測定とカラムクロマトグラフィーから検討し,次の結果を得た. (1)常温電子線照射によって,アミロースに生じるラジカルのESRパターンは,澱粉およびグルコースと一致し,アミロース主鎖切断のみかけのG-値は約2.7,ラジカル生成については約0.1となり,ラジカル生成を伴わない多くの不活性化切断分子の生成が起こる.また分子量分布から求めた数平均切断数,重量平均切断数より切断個所はまとまって存在し,あたかも溶液中における酸加水分解...

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Veröffentlicht in:Nippon nōgei kagakukaishi 1972, Vol.46(1), pp.9-15
Hauptverfasser: 半田, 隆, 大塚, 信好, 鮎川, 弥一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:電子線前照射法による澱粉に対するグラフト共重合において,反応活性点となるラジカル生成量と基材高分子となる澱粉の崩壊の釣合いを知るため,直鎖成分であるアミロースを用い, ESR測定とカラムクロマトグラフィーから検討し,次の結果を得た. (1)常温電子線照射によって,アミロースに生じるラジカルのESRパターンは,澱粉およびグルコースと一致し,アミロース主鎖切断のみかけのG-値は約2.7,ラジカル生成については約0.1となり,ラジカル生成を伴わない多くの不活性化切断分子の生成が起こる.また分子量分布から求めた数平均切断数,重量平均切断数より切断個所はまとまって存在し,あたかも溶液中における酸加水分解と同様な現象が,固体アミロース中で溶媒和電子あるいはプロトンによって,不均一に起きていると考えられる. (2)照射線量を変化させた場合,分子量分布にD. P. 400を中心としたisosbestic pointが現われることから,ランダムな切断分布の他に,固体アミロースの水素結合部分を通したエネルギー移動と,結晶表面の界面凝集エネルギー差とにもとづく,規則的切断分布が存在することが推論される.
ISSN:0002-1407
1883-6844
DOI:10.1271/nogeikagaku1924.46.9